2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the Mechanism of Cahexia
Project/Area Number |
20K23045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板井 俊介 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40878401)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | カヘキシア / 悪液質 / 低栄養 / 体重減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、WHOが公表する緩和医療の重点課題の一つであるカヘキシア(悪液質)に焦点を当てて研究を行っており、栄養摂取不足やがんなどによる炎症を起因とする骨格筋の減少などが関連しているとされている。我々は、それらの原因解明や診断のマーカーとなりうる関連項目の検索を最終的な目的と考えている。 その足がかりとして、本研究の初年度には、実臨床に即し、かつ簡易に判断、検査が可能な項目を探索するため、 まずは栄養摂取不足という観点から調査を開始した。その結果、栄養摂取に関連する摂食嚥下においては、呼吸状態、咀嚼、姿勢の3項目の評価が有用であり、栄養摂取不足、更にはカヘキシアの評価において利用できる可能性が示唆された。 次に、カヘキシアのきっかけの一つである栄養不足の状態に着目した。令和3年度は栄養不足あるいはそれによる体重減少の観点からより幅広く調査を行った。栄養不足に関して、食事摂取不良の状態を検出しうるリスク評価を行った。その一つに食事摂取時のSpO2濃度が挙げられ、44人を対象に調査を行ったところ、これらの低下と嚥下能力が相関する可能性が示唆された。また頸部周囲長と食事摂取状態にも関連性があることも示唆された。体重減少に関しては、まだ解析途中ではあるが、とある地域の大規模データを用いた調査により、体重が数%減少することが栄養状態あるいは全身状態、QOLの悪化につながる可能性があるとの結果も出始めている。 当初は炎症性サイトカインの分子学的検討を予定していたが、カヘキシアには非常に多くの因子が関わっており、そのメカニズムは複雑であることがわかってきた。そこで今回臨床に即した形で、特に栄養状態の悪化に着目し、原因の探索を進めることとした。その結果、摂食嚥下や体重の変化などが栄養状態の悪化に関与しており、それらが結果的に低栄養、カヘキシアを惹起する一因である可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)