2021 Fiscal Year Research-status Report
乳歯歯髄由来幹細胞培養上清の骨再生機構の解明と口蓋裂顎裂部骨再生治療への臨床応用
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20K23055
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平木 智香 広島大学, 医系科学研究科(歯), 研究員 (70881275)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | SHED / 間葉系幹細胞 / 培養上清 / 骨再生 / 口蓋裂 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth; SHED)とSHEDの培養上清(SHED-CM)に着目し、SHEDおよびSHED-CMが骨再生能を有している事を解明した。本研究では、SHEDおよびSHED-CMを用いた顎裂部骨再生治療を確立するため、SHED-CM中の骨再生に有用な液性因子を解明することを目的とする。 2021年度には、in vitroの実験を行なった。実験には、ヒト由来血管内皮細胞株 (HUVEC)、マウス頭蓋冠由来骨芽細胞株 (MT3T3-E1)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hBMSCs)を用いた。各細胞を培養し、SHED-CMを添加し、細胞増殖能について BrdU assayを用いて比較・検討した結果、有意な増殖が認められた。さらに、骨代謝因子および血管新生マーカーの発現レベルについて、定量PCRを用いた遺伝子解析およびOdysseyを用いた定量western blot 解析を行った。hBMSCs にSHED-CMを添加した結果、VEGF、Ang1、Ang2、HGF、ALP、Runx2、OCNの遺伝子発現は有意に亢進された。MC3T3-E1においても同様に、ALP、Runx2、OCNの遺伝子発現に有意な亢進が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在in vitroの実験を行なっており、ヒト由来血管内皮細胞株 (HUVEC)、マウス頭蓋冠由来骨芽細胞株 (MC3T3-E1)を用いている。各細胞を培養し、各MSCs-CMおよびをSHED-CM 抽出成分を添加し、細胞増殖能、各細胞増殖時の動態変化、骨代謝因子・血管新生マーカーの発現レベルについて遺伝子解析およびwestern blot 解析を行っている。しかしながら、安定的に採取培養ができる状態および条件を確立することに予想以上に時間がかかっている。さらに、新型コロナウイルスの影響もあり、患者からSHEDを採取できる機会が減っていたため遅延していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記のin vitroの実験について、さらなる検証を重ねる予定である。さらに、SHED-CMに含まれるタンパク質の定量解析の結果解明された液性因子について、抗中和抗体を添加し、細胞増殖能および骨形成能を検証することで、SHED-CM中の骨再生に有効な上清成分の液性因子について検証を行なっていく。
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Causes of Carryover |
SHEDを患者から採取する必要があるが、新型コロナウィルスの影響により、一時期採取できる機会が減っていたことから実験が遅延している。実験の遅延により各種消耗品の使用が減った。さらに、学会参加が中止となったため旅費の使用額に差額が生じた。 差額は、次年度に行う実験に必要な細胞、試薬などの消耗品の購入費用、学会参加および論文投稿代として使用する予定である。
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