2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔がん細胞におけるプロスタグランディンE2受容体EP4の役割解明
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20K23061
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大澤 昂平 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (50879715)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔がん / 遊走 / EP4 / カルシウム / Orai1 / CAMKK2 / AMPK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が先行研究で発見したがん細胞の増悪に関与すると考えられるEP4-Orai1-Ca2+シグナルの下流の経路を明確にし、その分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。これにより、直接細胞遊走を制御するシグナル因子の同定を目指し、さらに特定したシグナル因子に対する阻害剤を同定し、その細胞遊走抑制効果を検証する。 (2020年度)口腔がん細胞におけるEP4刺激時の発現蛋白質の同定と評価:がん増悪の関与が疑われるCAMKK2(Calcium/Calmodulin dependent protein kinase kinase 2)、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)をはじめとした蛋白質をウエスタンブロット法を用いてEP4刺激時の発現の変化を解析し、EP4-Orai1-Ca2+シグナルへの関与する分子を同定する。同定された分子についてそれぞれの阻害薬を使用し、分子間同士の位置関係を整理し、シグナルを同定する。ヒト由来口腔がん細胞HSC-3を用い、実験を行ったところ、EP4刺激時にCAMKK2、AMPKが有意にリン酸化した。また、この事象は口腔がん細胞(HSC-3)以外にも神経膠芽腫細胞でも確認できた。 (2021年度)同定した分子に対する阻害薬の細胞遊走能、増殖能への効果判定:1年目で同定したシグナルの阻害薬を使用し、EP4アゴニストによって亢進した細胞遊走能、増殖能を抑制できるか検討する。それぞれ、遊走能はスクラッチアッセイ、増殖能はXTT細胞増殖アッセイを用いて評価する。 本研究で細胞遊走能及び増殖能への効果が見られた阻害剤については、将来的に、正常細胞への影響の有無の確認した後、口腔がん治療薬としての有用性を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は口腔がん細胞におけるEP4刺激時の発現蛋白質の同定と評価を行う予定であった。がん増悪の関与が疑われるCAMKK2(Calcium/Calmodulin dependent protein kinase kinase 2)、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)をはじめとした蛋白質をウエスタンブロット法を用いてEP4刺激時の発現の変化を解析し、EP4-Orai1-Ca2+シグナルへの関与する分子を同定する。同定された分子についてそれぞれの阻害薬を使用し、分子間同士の位置関係を整理し、シグナルを同定する。ヒト由来口腔がん細胞HSC-3を用い、実験を行ったところ、EP4刺激時にCAMKK2、AMPKが有意にリン酸化した。また、この事象は口腔がん細胞(HSC-3)以外にも神経膠芽腫細胞でも確認できた。 一方、2020年度は国内学会にも参加し、学外の研究者の発表を聞くことで、新しい知見を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は同定した分子に対する阻害薬の細胞遊走能、増殖能への効果を判定する予定である。1年目で同定したシグナルの阻害薬を使用し、EP4アゴニストによって亢進した細胞遊走能、増殖能を抑制できるか検討する。それぞれ、遊走能はスクラッチアッセイ、増殖能はXTT細胞増殖アッセイを用いて評価する。また先行研究でも注目した、既にがんの増悪に関与するとされているERK(extracellular signal-related kinase)などの分子が、本研究で同定した経路の阻害薬で抑制できるかウエスタンブロット法で検討する。 本研究で細胞遊走能及び増殖能への効果が見られた阻害剤については、将来的に、正常細胞への影響の有無の確認した後、口腔がん治療薬としての有用性を検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度の実験で使用する細胞培養の器具や抗体などの消耗品は先行研究や別の研究で使用した物品の使用が可能であった。また新興感染症の影響で予定していた実験等の縮小も余儀なくされた。さらに海外等の学会への参加が困難となり、助成金の一部を次年度へ繰り越した。次年度は本年度予定していた実験を含め研究を進めていく予定である。また学会等への参加もWEB等を利用し、参加する予定である。
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