2020 Fiscal Year Research-status Report
三叉神経損傷によって惹き起こされる大脳皮質神経回路の可塑的変化の神経メカニズム
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20K23063
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
坐間 学 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00884561)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | Neuropathic pain / Insular cortex / Optical imaging / Somatosensory / Neuroscience |
Outline of Annual Research Achievements |
外科的治療において三叉神経は,切断せざるを得ない状況が生じる。そして,一部は異常な痛みの原因になることがあり,神経障害性疼痛とよばれている。現在,末梢神経系におけるメカニズムが解明されつつあり,アロディニアや異所性疼痛などのメカニズムの一端が明らかになってきた。しかし,顎顔面領域の感覚認知機能を最終的に司る大脳皮質の体性感覚情報処理機構には不明な点が多く残されている。 そこで本研究はまず大脳皮質体性感覚野における,口腔内の器官の配置や顎顔面領域との位置関係を明らかにすることを目的として実験を行った。令和2年度は光学計測法を用いてラット顎顔面及び口腔周囲粘膜に対して侵害受容として電気刺激を与え, 大脳皮質体性感覚野における精密な体部位局在性の検討を開始した。本実験では,ラットの側頭部を開頭後,膜電位感受性色素RH-1691 にて染色を行い,侵害刺激としてヒゲ, 眉,下唇,舌尖,舌背,上下顎門歯・臼歯の歯根膜及び歯髄へ電気刺激を与え,嗅溝(RH)と中大脳動脈(MCA)をランドマークとして観察領域の決定を行った。解析の結果歯及びヒゲでの初期応答部位は以前の結果と同様の結果を得ることができた。そして,眉,ヒゲ,下唇,舌尖及び舌背部での初期応答はS1において背尾側から吻腹側にかけて,眉,ヒゲ,下唇,舌背そして舌尖と位置し,顎顔面領域において,口腔内領域同様に侵害受容に対しての体位部位局在性があることが分かった。 以上の結果を踏まえ,今後は体性感覚における応答に関しても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に計画していた実験内容はおおむね完了している。 まず,実験動物を用い侵害受容である電気刺激にて顎顔面領域の体部位局在性を明らかにした。 現在は,次の段階として体性感覚として空気刺激にて顎顔面領域の体部位局在性の解明に着手しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,令和2年度に得られた研究成果をもとに,顎顔面領域における体性感覚の体部位局在性を明らかにし,同様の解析及び計測法を用いてモデル動物と対象群との比較を行い,その体部位局在性がどのように変化するのか明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延を受け,薬剤の調達ができなかった点,また学会の開催中止により計上していた費用がかからなかった。次年度は薬剤の調達や,学会の開催が予定されている。
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