2021 Fiscal Year Annual Research Report
FIB-SEMを利用した肥大軟骨細胞の細胞死メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K23065
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松島 英輝 昭和大学, 歯学部, 特別研究生 (80882406)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 / 細胞死 / FIB-SEM / 三次元画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
成長板の軟骨細胞は、静止相、増殖相、肥大相の過程を経て、最終的には細胞死に至る。しかし、肥大細胞の細胞死は核の凝集を伴わない、典型的なアポトーシスとは異なることが知られており、その実態について詳細は不明である。本研究では、顕微鏡本体の中で試料をナノメートル単位で切削し露出面を連続的に撮影することが可能な最新の走査型電子顕微鏡『FIB-SEM(JEOL製)』を用いて、細胞死が進行中の肥大軟骨細胞の超精細3D画像を構築した。この画像から、核をはじめとする細胞内小器官や細胞膜、細胞外基質などを3D解析ソフト(Amira)を用いて抽出し、その廃滅過程の特徴を解析した。その結果、軟骨細胞の肥大化に伴って細胞の形態が繭状に変化することが明らかになった。さらに、細胞内部では、徐々に核の大きさが小さくなる一方で、空胞の数が増大することが明らかになった。細胞質には他の細胞に比べてミトコンドリアが極端に少なく、おそらく水分に富む細胞質タンパク質で満たされていることが推察された。細胞死に近い状態では、細胞の近隣に破骨細胞が多く存在し、軟骨基質と骨基質を吸収している可能性が示唆された。以上の結果から、増殖軟骨から肥大軟骨に変化す過程で繭状の形態変化を伴うこと、肥大軟骨では空胞が多く形成され、細胞死に至ることが新しいメカニズムとして示唆された。これらの結果は、軟骨の破壊を伴う関節リウマチなどの硬組織疾患のメカニズム解明に役立つと共に、骨代謝分野での軟骨組織研究に貢献する。
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