2020 Fiscal Year Research-status Report
タンパク小分子を用いた頭頚部癌に対する新規光免疫療法の開発
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20K23067
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
竹澤 晴香 (山口晴香) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (00756942)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 光免疫療法 / Affibody / EGFR / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、癌の新規治療法である光免疫療法が注目されている。癌に過剰発現する分子をターゲットとする抗体(mAb)とIR700の結合体を標的癌細胞表面の受容体に結合させ近赤外光を当てると結合体が活性化し、構造が変化する。その結果、標的癌細胞の細胞膜に傷がつき、ネクローシスを起こして死滅する。この際、正常細胞には影響を与えない。すでにEGFR1過剰発現の頭頚部癌を対象にした治験が行われ、良好な結果を残しており、EGFR2 (HER2) を標的とした研究も行われている。 本研究では、従来の光免疫療法で用いられる抗体の代わりにタンパク小分子 (Affibody) を用いることで、腫瘍深部への到達効率を上げたり、結合体が血液脳関門を効率的に通過するため脳腫瘍も治療できることを証明し、光免疫療法の可能性を広げることを目指す。 当初の研究実施計画では、下記の6項目を挙げていた。 ① EGFR1, HER2ターゲットのAffibody-IR700結合体を作製 ② EGFR1, HER2過剰発現癌細胞への特異的な結合を証明 ③ EGFR1, HER2過剰発現癌細胞に対する光免疫療法 ④ mAb-IR700結合体とAffibody-IR700結合体併用の光免疫療法 ⑤ 血液脳関門 (BBB)モデルを用いた通過実験 ⑥ 動物実験 このうち、2020年3月末時点で③まで到達し、現在④を検討中である。結果としては、EGFR過剰発現癌細胞において、Affibody-IR700結合体による光免疫療法で癌細胞をほぼ死滅させることができた。また、mAb-IR700結合体とAffibody-IR700結合体併用の光免疫療法によって、治療効率をより上げることが出来た。 これらの成果は、今年度の日本分子イメージング学会や日本口腔腫瘍学会で発表予定である。今後は、血液脳関門モデルを用いて結合体の通過効率を調べ、動物実験に移行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた6段階(① EGFR1, HER2ターゲットのAffibody-IR700結合体を作製② EGFR1, HER2過剰発現癌細胞への特異的な結合を証明③ EGFR1, HER2過剰発現癌細胞に対する光免疫療法④ mAb-IR700結合体とAddibody-IR700結合体併用の光免疫療法⑤ 血液脳関門 (BBB)モデルを用いた通過実験⑥ 動物実験)のうち、現在④を検討中である。 これまでに、EGFR過剰発現癌細胞において、Affibody-IR700結合体による光免疫療法で癌細胞をほぼ死滅させることができ、mAb-IR700結合体とAffibody-IR700結合体併用の光免疫療法によって、治療効率をより上げることも出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでほぼ順調に進んでいるため、今後は当初の計画通り、血液脳関門モデルを使用してAffibody-IR700結合体の通過率を検討し、その後動物実験に移行する。癌細胞を免疫不全マウスに移植し腫瘍モデルを作り、光免疫療法を行っていく。
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Causes of Carryover |
抗体を一本買う必要があったが、残金では足りないため翌年度分として請求した分と合算して使用することとした。旅費として計上していた分は新型コロナ蔓延により学会への参加を断念したため使用せず、試薬類などの購入にあてた。 2021年度以降は動物実験に移行するため、主に免疫不全マウスの購入と動物実験に必要な抗体などの試薬類を購入するために使用する。また、研究発表のための学会費や論文投稿費としても使用する。
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