2020 Fiscal Year Research-status Report
ハニカムTCPを用いた細胞外微小環境制御による新規歯牙再生法の確立
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20K23079
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲田 靖則 岡山大学, 大学病院, 医員 (50883427)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ハニカムTCP / 象牙質再生 / 極性 / 象牙芽細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の再生は社会的急務であり、現在「器官原器法」や歯肉から樹立したiPS細胞を用いた研究が進んでいる。しかし、現在の歯の再生研究は細胞供給源など制約が多く、依然として実用化は困難であり、全く新しい視点からアプローチする新規再生法の確立が望まれている。申請者らは、歯髄から採取した生体内外で象牙芽細胞への分化傾向を示す象牙芽細胞株の樹立に成功している。さらに、新規生体材料であるハニカムTCPにより、硬組織形成過程における細胞外微小環境を再現した硬組織形成に取り組んできた。その結果、ハニカムTCPの形状を変化させることで、骨・軟骨組織を特異的に誘導することに成功している。 そこで本申請課題では、ハニカムTCPの形状を変化させることで、象牙質細胞株分化に最適な細胞外微小環境を再現し、生体内で生理的に機能する象牙質の再生を目指す新規歯牙再生療法開発確立に向けた基礎的研究を行う。 2020年度は、申請者らがGFPラット大臼歯歯髄から樹立した象牙芽細胞株を石灰化培地で培養し、この細胞株が象牙質へ確実に分化することを検討した。さらには、直線的貫通孔をハニカム状に配列した新規生体材料であるハニカムTCPを用いることにより、その幾何学的構造を変化させることにより生体内で形成した組織が象牙質への分化を示すかを、Western Blotting・免疫組織化学的検討や骨・象牙質関連遺伝子(DSPP, DMP-1など)発現の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は樹立した象牙芽細胞株を用いて、象牙質への分化傾向の検討を行い、さらにはハニカムTCPによる細胞外微小環境提供により、生体内に類似した生理的に機能する極性を有した象牙質形成を目的としていた。しかし、COVID-19の影響により、予定していた動物実験は実施できず、in vitroのみの検討しか行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、技術的な部分での研究推進に問題はなく、時間的制約により研究推進に遅れが生じている。そのため、2021年度に計画しているin vitroにおける免疫組織化学的検討や象牙質関連遺伝子発現の検討と共に、2020年度に予定していた動物実験を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、使用動物匹数やハニカムTCPの個数、免疫組織学的検討に使用する試薬が予定よりも使用量が少なかったため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額はは2020年度に計画していたマウスを用いた異所性および同所性象牙質誘導実験を行い、組織学的検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)