2021 Fiscal Year Research-status Report
MSCs・Mφ相互作用による組織再生起点メカニズム解明と組織再生加速技術の開発
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20K23080
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田頭 龍二 岡山大学, 大学病院, 医員 (20882640)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症や,外的要因による組織損傷の際,最初に好中球やT細胞などとともにマクロファージが炎症局所に集積し,T細胞などに由来する炎症性サイトカインが不活性型マクロファージ(M0)を炎症性マクロファージ(M1)に活性化する. 創傷治癒が進むにつれ,M1は抗炎症性マクロファージ(M2)へと極性を変化させることで組織修復を促進するとされ,M1からM2への極性変化こそが組織再生の起点ではないかと考えられている.一方で,多分化能を有する間葉系幹細胞(MSCs)は,組織再生の要として注目され,数多くの組織再生工学や再生医療に応用されてきた.過去の報告では,MSCsも創傷治癒局所に集積することが明らかにされているが,創傷治癒過程において前述のマクロファージとどのように関わり,組織再生が誘導されるのかについてはほとんど知られていない.本研究では,マウス長管骨損傷モデルを用いて創傷治癒過程におけるM1、M2およびMSCsの時空間的分布状況を組織学的に検討し,Mφを実験的に枯渇させた場合に組織再生がどう生物学的に影響を受けるのかを明らかにした。マウス長管骨損傷治癒モデルにおける治癒過程ではM1、MSCsならびにM2の集積と共に骨芽細胞/破骨細胞の分布を認め、この一連の反応はMφの枯渇で阻害され組織再生が抑制された。in vitro間接共培養の結果から,M1によって刺激されたMSCsは,局所での免疫調節に関与するとともに、M1からM2への分極を誘導することで創傷治癒を促進させる可能性が示唆された。 この相互作用を生物学的に促進することにより、効率的な歯槽骨再生や、歯周病やインプラント周囲炎などの炎症性疾患の病態形成を抑制する新規治療法の開発に繋がると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種の免疫組織化学染色における適正な濃度決定に時間がかかったため実験計画はやや遅れている。また免疫染色の発現が弱く、そのことに関してはシグナルブースターを使用することで対処した
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Strategy for Future Research Activity |
Mφ枯渇による組織再生遅延モデルにおいて経時的に骨欠損部位に近い骨髄細胞を採取する。採取した骨髄細胞よりMSCsマーカーであるPDGFRα;、Sca-1ダブルポジティブ細胞をソーティングし、RNAseqにより、発現シグナルの差を網羅的に検出しMSCs機能低下シグナルの検索を行う また、各種濃度のTNF-をMSCs培養上澄に添加することでMSCs機能を活性化させ、対照群として、TNF-αを添加しない群を作製し、それぞれのMSCsを回収し、RNAseqにより発現シグナルの差を網羅的に検出し、両者を比較することで活性化シグナル候補因子群の同定を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により実験で必要な器具や抗体の手配が困難となったため次年度使用額が生じたが、次年度、それらを購入する費用等に充当する。
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