2022 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍会合性マクロファージによる口腔扁平上皮癌の増殖・浸潤促進機構
Project/Area Number |
20K23086
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柿添 乃理子 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (70876523)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | TAM / OSCC / CD163 / CD124 / CD206 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織は自己の増殖・免疫回避のために、「がん微小環境」を構築し、単球を腫瘍随伴マクロファージ(TAM)へと分化・誘導することが報告されているが、 その詳細についてはいまだ不明であった。本研究では口腔扁平上皮癌(OSCC)の細胞株から放出される液性因子を検索し、TAMへの分化機構について検討した。これまでの研究で、OSCC由来の液性因子により単球がTAM様の細胞へと分化することが示唆され、液性因子の同定のため行ったサイトカインアレイにて、高発現していたIL-8、SerpinE1に注目し、細胞免疫染色を行ったところ、OSCC細胞株で高発現を認めた。これらのサイトカインを添加して単球を培養すると、CD206の発現が亢進した。OSCC組織において、これらの因子の発現を確認したところ、CD206、IL-8およびSerpinE1陽性細胞の発現には正の相関があり、IL-8、SerpinE1を高発現していた患者では、疾患特異的生存率では有意差はなかったものの、無病生存率では予後が悪かった。これらの結果により、OSCCによって産生されたSerpinE1およびIL-8が単球のCD206陽性TAMへの分化を促進しており、転移・再発についての関わりについても示唆された。
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