2021 Fiscal Year Research-status Report
BMP-2遺伝子導入とRANKL結合ペプチドを用いた顎骨における骨造成法の開発
Project/Area Number |
20K23098
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長弘 茂樹 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (80877259)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | RANKL結合ペプチド / BMP-2 / 遺伝子導入 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年我々は、顎骨欠損症例において適応可能な安全で低侵襲な骨形成を目指し、BMP-2遺伝子導入とRANKL結合ペプチドの併用による新規骨造成法を開発した。 骨形成作用を持つBMP-2は、リコンビナントタンパクとして用いる際には、炎症の惹起や、発癌性、投与時の外科的処置の必要性、高い精製コストが問題となる。そこで近年では、前述の副作用や問題点を解決することが可能な、BMP-2の遺伝子導入による使用が期待されている。 BMP-2の遺伝子導入に用いるベクターには、安全性の高い非ウイルスベクターの使用が求められるが、遺伝子導入効率が低く、誘導される骨量が少ないことが問題であった。そこで申請者らは、自らが開発した骨形成促進および骨吸収抑制作用を持つRANKL結合ペプチドを併用することを考えた。 先行研究では非ウイルスベクターを用いたBMP-2遺伝子導入にRANKL結合ペプチドを併用することによって、マウス下肢筋内に誘導される異所性骨の量・質が改善することを明らかにした。しかし、先行研究では筋内の異所性骨を用いた証明しかなされていない。そこで本研究では、BMP-2遺伝子導入とRANKL結合ペプチドを用いた新規骨造成法の顎骨部への適応の可否を検証することを目的とする。 本年度は適切な遺伝子導入法の模索のためにエレクトロポレーション法とカチオン性ポリマーを用いたリポフェクション法を比較検討し、マウス腓腹筋内の異所性骨誘導および顎骨周囲での骨誘導を試みた。腓腹筋内の異所性骨誘導ではどちらの遺伝子導入法でも骨誘導が起こり、RANKL結合ペプチドによる骨形成の促進も認められたが、顎骨周囲では骨誘導に至らなかった。これには遺伝子導入部周囲の間葉系細胞の存在の違いにあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス腓腹筋内では異所性骨誘導が可能であったが、顎骨周囲での骨誘導は認められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス顎骨での骨誘導を実現させるため、骨誘導能の高いベクターの構築や、RANKL結合ペプチドの投与量、投与法の再検討を行う。その後骨誘導が可能となれば、新生骨の構造及び経時的変化、母骨との結合状態を明らかにする。また、研究成果について学会発表や論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた動物実験の開始時期が遅れ、予定通りの解析が行えなかったため
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