2020 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部軟組織再生へ向けたナノゲル集積材料の構築と機能評価
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20K23100
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木下 直哉 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (80881086)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 頭頸部筋組織再生 / 生体材料 / ナノゲル / 口腔がん |
Outline of Annual Research Achievements |
舌の再生のための足場材料としてナノゲルを構成単位とした多孔質ハイドロゲルに着目し、ゲルの空孔率、分解挙動、細胞接着などの特性解析を行い、筋組織再生へ向けた足場材料としての有用性を検討してきた。ナノゲル架橋ゲルに凍結融解処理を行うことにより、直径50-100μm 程度のポアが形成されることが示された。この手法によって作成されたゲルはフィブロネクチンと複合化することにより細胞接着性を獲得することが明らかになった。ゲルは細胞に対して明らかな毒性は示さず、 筋芽細胞の分化促進効果も認められた。筋芽細胞を接着させたゲルをヌードマウスの舌に移植し、組織中の再生筋線維数を計測した結果、コントロール群と比較し有意な再生筋線維数の増加が認められた。これらの結果より、ナノゲル架橋ゲルが舌筋組織再生における細胞の足場材料として有望であることが示唆された。更なる解析の結果、生体微粒子であるエクソソームと多孔質ハイドロゲルが複合化することが共焦点レーザー顕微鏡による観察から明らかになっている。このことから細胞接着のみならず、生体由来の治癒因子を搭載した多機能足場材料となる可能性があり、次年度では放出挙動や細胞への影響などの詳細な検討を追加する予定である。 また新たなナノゲルを基盤としたマテリアル開発を目指し、局所における形態制御目的とした検討を開始している。ナノゲルの集積制御を行うことでナノ微粒子が架橋したマイクロオーダーのスフェア(マイクロスフェア)を形成することを明らかにした。作製したマイクロスフェアの基礎的物性評価として蛍光強度計測による分解挙動や筋芽細胞の接着性や毒性評価などを行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
材料の調整や一部の解析において京都大学生体機能高分子学分野の設備を使用する予定であったがCOVID-19の影響により移動制限がかかったことや、使用する材料の中には輸送が難しいものあることから実験全体の遂行にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も移動制限が継続される可能性も高いが、多孔質ゲルに関しては光や熱などの外部刺激に応答する特性付与など更なる改良を行いながら、マイクロスフェアの基礎物性評価を引き続き継続して行う予定であるが、生体内でのマテリアルの挙動などの解析を中心として行うよう方針を修正する。
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Causes of Carryover |
一部京都大学で実験を行うための試薬や関連する出張費、学会発表に伴う旅費などの出費を予定していたがCOVID-19感染拡大防止を目的とした移動制限によりこれらの予定支出がなくなったことから差額が生じた。
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