2020 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄組織におけるM2マクロファージの創傷治癒機能を向上させるmTORの機能解析
Project/Area Number |
20K23103
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹内 亮祐 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (60827616)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2021-03-31
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Keywords | M2マクロファージ / mTOR / アミノ酸 / 歯髄創傷治癒 / 修復象牙質形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
M2マクロファージは、歯髄創傷時に抗炎症性サイトカインを産生し、炎症の抑制と創傷治癒を亢進する。一方で、アミノ酸の感受によってmammalian target of rapamycin(mTOR)は活性化され、免疫を亢進させることが知られている。以上の知見から、このmTORはアミノ酸感受により活性化し、M2マクロファージを分極化し、免疫機能の向上にも関与していると予想されるが、不明であった。そこで本研究では、歯髄創傷治癒過程での免疫機能の向上にアミノ酸-mTOR連関が関与していると仮説を立て、mineral trioxide aggregate (MTA)断髄による歯髄創傷治癒モデルラット(Takeuchi R et al., Oral Dis, 2020)を用いてmTOR、、マクロファージ、アミノ酸トランスポーターの免疫組織染色を行い、その発現様式を検証することを目的とした。 mTORの免疫組織染色の結果、正常歯髄では象牙芽細胞でmTORの発現を認めた。歯髄創傷治癒モデルラットでは、処置後5日目の断髄部直下でmTORの陽性細胞を認め、7-14日後ではmTOR陽性反応は認められなかった。また、処置後5日後で歯髄細胞にM2マクロファージマーカーであるCD163の陽性反応を認めた。アミノ酸トランスポーターのSLC7A7とSLC7A9の免疫染色では処置後5日目には歯髄細胞に陽性反応を認めた。さらに、免疫蛍光染色からmTORとSLC7A7の歯髄細胞での二重陽性反応が確認された。 以上の結果から、歯髄創傷治癒過程においてアミノ酸-mTOR連関が免疫機能に関与していることが示唆された。アミノ酸-mTOR連関は、歯髄創傷治癒の亢進を可能にする新規創薬ターゲットとして重要であり、新しいう蝕治療のエポックメイキングとなりうると考えられる。
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