2020 Fiscal Year Research-status Report
in situデンタルバイオフィルムモデルを用いた効果的な口腔ケア方法の確立
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20K23104
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外園 真規 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00876675)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | デンタルバイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト口腔内の微生物が歯の表面に形成するデンタルバイオフィルムのコントロールの重要性は広く認識されており、就寝前の口腔ケアが効果的であると一般的に考えられている。しかし、その根拠は唾液中の細菌数が睡眠中に急激に増加するという古典的な研究報告であり、その報告は疾患の原因であるデンタルバイオフィルムを評価したものではない。そこで、本研究では、研究代表者が所属する研究グループで開発したin situデンタルバイオフィルムモデルを用いて、睡眠とデンタルバイオフィルムの形成に関して、睡眠時と覚醒時におけるデンタルバイオフィルムの形成を量と質の両面から測定することとした。 令和2年度は、同意の得られた被験者を対象とし、in situデンタルバイオフィルムモデルに使用する、ナイトガードを改良した口腔内装置の作製を行った。研究としては、睡眠時および覚醒時に形成されるデンタルバイオフィルムの定量的評価を主に行った。その結果、バイオフィルムを形成する細菌数は、経時的に増加するが、睡眠の影響を受けないことが明らかとなった。また、バイオフィルム試料からDNAを抽出し、バイオフィルムを構成している細菌の割合を測定した。その結果、起床直後には歯周病に関連する可能性の高い細菌の割合が上昇していることが明らかとなった。 令和2年度に行った研究より、デンタルバイオフィルムの量は睡眠による影響は受けないが、デンタルバイオフィルムの質は睡眠により影響を受けることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度にはin situデンタルバイオフィルムモデルを用いて形成した実験的デンタルバイオフィルムの生菌数測定およびリアルタイムPCRによる総菌数測定と、16S rRNAシーケンス解析を予定していた。 研究代表者は、本研究の申請段階において、in situデンタルバイオフィルムモデルによる実験的バイオフィルムの形成、生菌数測定、DNA抽出および16S rRNAシーケンス解析の手技および解析方法を習得していたため、順調に計画を進めることが出来たと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、in situデンタルバイオフィルムモデルで形成した実験的バイオフィルムの三次元的構造を評価するため、共焦点レーザー顕微鏡観察を行う予定である。 また、得られた研究データを解析し、結果を日本歯科保存学会および日本バイオフィルム学会など学術集会にて発表し、意見交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の流行により学会の現地開催がなくなりWEB開催や誌上開催となったため、旅費は使用しなかった。また、コロナウイルス感染症の流行のため研究を中断していた時期があったため、次年度使用額が生じた。 次年度繰り越し分に関しては、物品の購入および旅費、論文校正および論文投稿に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)