2022 Fiscal Year Annual Research Report
内在性MSCsの免疫調節能障害メカニズムの解明とインプラント周囲炎の新規治療戦略
Project/Area Number |
20K23109
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黄野 頂策 岡山大学, 大学病院, 医員 (60882644)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / オートファジー / 歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宿主の加齢に伴うマクロファージのオートファジー活性や間葉系幹細胞(MSCs)機能の変化が歯槽骨破壊の進行にどう連関するのか解明することを目的とし、in vivo、in vitroの両方から検討した。 5週齢と50週齢マウスの下顎第一臼歯に5-0絹糸を結紮し歯周炎モデルを作製した。結紮後屠殺し、組織形態学的に免疫学的に解析した。マクロファージのオートファジー(ATG)関連遺伝子の発現をリアルタイムPCR法にて評価した。さらには、各週齢マウス大腿骨骨髄由来MSCsと骨髄由来マクロファージを間接共培養し、MSCsによるマクロファージのATG関連遺伝子発現への影響もリアルタイムPCR法で比較した。 本研究では、急性の歯周炎症を惹起させるマウス結紮モデルを用いて、免疫系が未成熟である5週齢と中高齢である50週齢を比較したところ、加齢によって歯槽骨破壊が重症化することが分かった。そのメカニズムとして、5週齢ではM1の集積が少なくMSCsの集積が多かったことや、50週齢では逆にM1の集積が多くMSCsの集積が少なかった結果に加えて、下顎骨由来マクロファージのATG関連遺伝子の発現が50週齢で亢進していたことから、歯槽骨破壊にこれら細胞の関与が強く疑われた。さらに、In vitroでの検討において、M1で発現が上昇していたATG関連遺伝子の発現が、5週齢由来MSCsとの共培養で減少し、50週由来MSCsではむしろ増強したことからも、加齢に伴うMSCs機能の低下が、マクロファージのオートファジー活性を抑制できずに歯槽骨破壊進行を助長させる可能性が示唆された。本研究では、加齢に伴うマクロファージのオートファジー活性亢進と間葉系幹細胞機能の低下が歯周病を重症化させる可能性を示す新しい知見を得た。
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Research Products
(1 results)