2020 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝子操作技術を応用したBMP-2の新規機能・骨髄形成能の解明
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20K23110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田仲 由希恵 岡山大学, 大学病院, 医員 (20884836)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | BMP-2 / 骨髄形成 / 細胞トラッキング技術 / オプトジェネティク |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らのグループは,インプラント治療への適応を念頭におき,骨髄内という特殊な環境下におけるBMP-2の効果が,むしろ骨髄細胞の増殖に伴う骨形成の抑制という従来の知見とは相反するものであることを突き止めた.その事実に着想を得て,BMP-2背部皮下移植により形成された異所性骨の解析を行った結果,骨髄間葉系幹細胞 (BM-MSC)が存在することを発見し,BMP-2が骨髄形成能をもつ可能性を見出した.しかし,BMP-2によって異所性に誘導された骨髄様組織が正常な骨髄と同様に造血機能を有しているか,BMP-2によりどのようにしてBM-MSCが動員・誘導されるのかは未だ不明である.そこで本研究では,マウス遺伝子工学技術を応用することで,BMP-2の骨髄形成メカニズムを生物学的に解明する.本研究は,現在,受動的損傷治癒に依存するインプラントの骨結合を,骨髄生物学的な側面から加強することに繋がる. 8週齢C57BL6J雌マウスの背部皮下にrhBMP-2とb-TCPの複合体を移植し,移植後3,5,7,14,28日目にサンプルを回収しフローサイトメトリー解析を行ったところ,移植後28日目の時点でLin-Sca1+cKit+CD48-CD150+の造血幹細胞が存在することが明らかとなった.そこで,移植後28日目のBMP-2誘導骨を用いて解析を行うこととした. 8週齢C57BL6J雌マウスの背部皮下にrhBMP-2とb-TCPの複合体を移植し,移植後28日目にBMP-2誘導骨を回収し,免疫組織学的解析にて,血管,神経,骨膜が存在することを確認した.さらに,目的の細胞が蛍光標識された各種レポーターマウスを用いて,BMP-2誘導骨に間葉系幹細胞,骨芽細胞,破骨細胞が存在することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BMP-2背部皮下移植やフローサイトメトリー解析等の手技については,研究協力者の助言のもと問題なく実施が可能であった .
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Strategy for Future Research Activity |
BMP-2誘導骨に存在する造血幹細胞が実際に造血機能を有しているか明らかにするために,造血幹細胞移植モデルを応用する.具体的には,CAG-EGFPマウスで作製したBMP-2誘導骨より回収した造血幹細胞を,放射線照射により造血幹細胞を死滅させたC57BL6Jマウスに移植する.対照群として放射線照射のみを行う群を作製し,生存曲線を比較する.さらに,生存した個体に関しては照射後24週目の時点で,血球細胞のフローサイトメトリー解析を行い, BMP-2誘導骨由来の造血幹細胞が複製もしくは分化した細胞群であるかを明らかにする. さらに,生体内細胞トラッキング技術を応用することで,BMP-2誘導骨に含まれる間葉系幹細胞がどこから誘導・動員されるのかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学会が開催されず、旅費として予定していた金額を使用しなかったため。 使用計画としては、次年度、放射線照射および造血幹細胞移植に必要な物品費等に充当する。
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