2021 Fiscal Year Research-status Report
上顎急速拡大による鼻腔通気障害の改善効果向上に関する流体力学的研究
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20K23116
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
柳澤 彩佳 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (70884055)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 上顎急速拡大 / 鼻腔通気障害 / 鼻粘膜肥厚 / アデノイド / 流体解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
上顎急速拡大(RME)はその副次的効果として鼻腔通気障害の改善が報告されているが、鼻腔通気障害の改善率は60%前後との報告が多く、全ての症例でRMEにより改善が認められるわけではない。この理由として、鼻粘膜肥厚、鼻中隔湾曲、アデノイドなどの耳鼻科的疾患の影響に加え、鼻腔通気障害の改善に至る鼻腔拡大がなされていない可能性が考えられる。 そこで本研究では①上顎第一大臼歯間幅径の計測(RMEによる上顎歯列幅径の変化を評価するため、低位画像診断用画像処理システムを用いてCBCTデータから画像構築し、上顎第一大臼歯間幅径を計測)、②流体解析を用いた鼻腔通気状態の評価(CBCTデータからINTAGE Volume Editorを用いて鼻腔三次元モデルを構築し、熱流体解析ソフトにより鼻腔流体シミュレーションを行い、得られた最大圧力から鼻腔通気状態を評価)、③鼻腔断面積の計測(低位画像診断用画像処理システムから前頭断面図を構築し、鼻腔断面積を計測)を行った。 本研究結果から鼻粘膜肥厚やアデノイドがない正常群では、RMEによる鼻腔通気障害の改善効果が大いに期待できることが示された。一方、鼻粘膜肥厚やアデノイドがある場合、RMEによる歯列の側方への拡大量が正常群と同程度であるにも関わらず、鼻腔通気障害の改善効果が十分に得られないことが示された。この理由として、鼻粘膜肥厚やアデノイドがある症例では、RMEによる歯列拡大後も鼻腔断面積は小さいため、鼻腔通気障害の改善が十分得られなかったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者自身の妊娠に伴い、産休、育休に入ったため、当初の計画通りに研究を進めることができなくなったため。また、新型コロナウイルスの流行に伴い、研究協力機関に研究データをお借りに行く時期が昨年の11月になってしまい、当初の計画から大きく遅延してしまった。そのため、現在の研究進捗状況は遅れているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では上顎急速拡大前後の鼻腔三次元モデルを使用して、鼻腔流体シミュレーションによる鼻腔抵抗値と鼻腔断面積の関連を明らかにする予定であったが、研究協力機関でお借りしたCBCTデータは全症例で鼻腔通気度検査を行っていなかったため、個々の症例のCT値の決定には今後検討が必要である。残りの研究期間において上顎急速拡大前後の鼻腔断面積と歯列拡大量から拡大後の鼻腔断面積の予測式を算出し、RMEによる鼻腔通気障害の改善について検証をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、学会の大半がWEB開催であったため、当初の予定よりも旅費としての使用金額が少額となった。また、同じ理由で研究のデータ収集や分析に携わる人員も制限したため、人件費・謝金としての使用が少なくなった。研究期間延長を申請したため、学会発表や論文発表を行ない、よりよい研究成果を出せるよう研究に励みたい。
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Research Products
(1 results)