2020 Fiscal Year Research-status Report
フレイルやサルコペニアの改善因子としての口腔機能低下症に対する有用性の検討
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20K23117
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 麻弥 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (30876199)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔機能低下症 / フレイル / サルコペニア / 軽度認知障害 / コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化に伴う我が国の課題は「医療費削減」と「健康寿命の延伸」である。これらの解決策を追究すべく、鹿児島大学では多職種によるコホート研究を開始している。本研究では、近年歯科分野が着目している口腔機能低下症に焦点をあて、これらの改善が全身機能低下の改善をもたらすことが可能であるか統計学的に検討することを目的とした。 鹿児島県垂水市の65歳以上の高齢者832人を対象とし、口腔機能低下症とフレイル、サルコペニアおよび軽度認知障害との関係性について検討した。口腔機能低下症は対象者の半数程度が該当しており、フレイル、サルコペニアおよび軽度認知障害の該当者が多い傾向を示した。つぎに、口腔機能低下症の診断7項目(口腔不潔・口腔乾燥・咬合力低下・舌口唇運動機能低下・低舌圧・咀嚼機能低下・嚥下機能低下)に注目し、どの項目が全身状態と強く関連するか多変量解析により検討したところ、フレイルは嚥下機能低下と独立した関係があり、軽度認知障害は咬合力低下と低舌圧に独立した関係があることがわかった。 本コホートでは、対象者は年に1回の健診を受け、健診から3、4ヶ月後に結果に基づいた報告会を医科、歯科、理学療法、栄養などの専門職より行なっている。そのため健診後の介入は、この報告会での口腔機能低下症対策の指導および地域の歯科医院と連携した歯科治療としている。これらの介入により、口腔機能低下症の改善が全身機能低下の改善をもたらし得るか、引き続き検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象者の統計学的検討は順調に進んでいるが、新型コロナウイルス拡大を危惧し、2020年度のコホート研究は中止となったため、1年分のデータ収集ができなかった。本年度は2021年6月より再開予定のため、引き続きデータ収集および統計学的検討を行なっていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔機能低下症とフレイル、サルコペニアおよび軽度認知障害などの全身状態は強く関係することがわかった。今後は介入の結果、口腔機能と全身機能がどのような経時的変化をもたらすか、統計学的検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度のコホート研究は、新型コロナウイルス拡大を危惧し中止となったため、予定していた物品の支出がなかった。また学会もリモートでの開催のため旅費の支出がなかった。2021年度からはコホート再開予定のため、本年度からは物品購入費用が必要となり、学会でも研究結果を積極的に発表予定である。
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