2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quality of Life of long-term care service users, family caregivers, and staff: The mutual relationship of the three stakeholders and organizational culture
Project/Area Number |
20K23133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中部 貴央 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (90883645)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | Quality of Life / 介護 / 高齢者 / 組織文化 / 介護負担 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多施設横断の無記名自記式質問紙調査により介護サービス利用者・家族介護者・介護職員の生活の質(QOL)と介護現場の組織文化を可視化し、相互の関係性ならびに介護サービス利用者の高いQOLへの関連要因を検討した。 2021年度は、これまでに実施した多施設調査の結果に基づいて、①デイサービス利用者と家族介護者のQOLと介護負担感との関連、②介護職員の職務満足度および精神的健康状態の変化とその関連要因を検討した。また、介護職員を対象としたインターネット調査を追加的に実施した。 ①デイサービスセンター(12事業所)の利用者と家族154組を解析対象として、デイサービス利用者と家族介護者のQOLと介護負担感との関連について検討し、デイサービス利用者と家族介護者のQOLの間に正の相関関係が認められた。また、家族介護者の不良な精神的健康状態のリスク要因について多変量で調整したロジスティック回帰分析の結果、利用者が85歳以上の場合、介護負担感(J-ZBI_8スコア)が高い場合にリスクが高く、介護者のQOL(EQ-5Dスコア)が高い場合にリスクが低かったが、利用者のQOLスコアとの関連は認められなかった。家族介護者の介護負担感の軽減、QOLの維持・向上が、家族介護者自身の精神的健康状態に寄与することが示唆された。 ②介護の質担保に重要な介護職員の職務満足度および精神的健康状態の変化と関連しうる組織文化について、経年で追跡可能な介護職員312名を対象として検討した。介護職員の職務満足度は経時的に低下する傾向がある一方、精神的健康状態は維持された。2年目の職務満足度および精神的健康状態のスコアを目的変数とした重回帰分析の結果、介護職員の職務満足度および精神的健康状態の向上には、研鑽の機会の確保や職員との事業所の将来像の共有がより重要であることが示唆された。
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