2020 Fiscal Year Research-status Report
Prebirth cohort studies on the relationship between perinatal environmental factors and allergic diseases: from the view point of hygiene hypothesis
Project/Area Number |
20K23135
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
時信 亜希子 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (10758212)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 小児アレルギー / 環境要因 / 出生前コーホート研究 / 衛生仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は出生前コーホート研究である九州・沖縄母子保健研究のデータを用いて、衛生仮説と関連する胎児期及び2歳時までの乳幼児期環境要因曝露と3歳時以降におけるアレルギー疾患リスクとの関連について検討することを目的とし、研究を遂行している。 研究代表者は今年度から本コーホート研究に参画し、初年度は研究内容と運営方法を把握し、本コーホート研究で既に出版されている数多くの先行研究を精査し、各研究の曝露要因、アウトカム、解析方法等を整理した。また、追跡調査におけるデータ収集やデータ管理等に関わった。その上で、研究責任者らと共同で、これまでに蓄積されたデータから、本研究課題に関連する解析対象となる曝露要因、アウトカム、交絡要因等を検討した。そして、先行文献レビュー、エビデンステーブル作成を行い、解析を行った。 今年度は、母親の妊娠中のIHクッキングヒーターの使用と出生アウトカム(早産、低体重出生、SGA、出生体重)の関連について研究した。解析の結果、早産のリスク低下と有意な関連を認め、論文を執筆・投稿し受理された。そのほか、①母親の周産期における染髪の有無と5歳時における喘鳴及び喘息のリスク、②乳児期の入浴頻度と3歳時における湿疹及びアトピー性皮膚炎のリスク、の関連について解析を行った。①については、妊娠中及び出産後4か月までの間、その両期間における母親の染髪は、染髪をしなかった場合と比較して、生まれた子の5歳時における喘鳴及び喘息のリスク上昇と有意な関連を認めた。②については、4か月時における入浴またはシャワーの頻度が1日1回と比較して、1日1回未満及び1日2回以上の頻度は、3歳時における湿疹及びアトピー性皮膚炎のリスク上昇と有意な関連を認めた。これらの結果に基づき、論文執筆を進めた。我々の研究は先行研究が不十分なこのテーマにおける貴重なエビデンス創出に寄与できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本コーホート研究の概要把握、データ構造の理解、これまで使用していたものと異なるデータ解析ソフトの習熟に想定よりも多くの時間を要し、本研究課題の着手に若干の遅れを生じた。解析は完了しているものの、すでに書き進めている論文2本は推敲に時間を要し、今年度中の投稿に至らなかった。しかし、今後の研究仮説はすでにいくつか決定しており、先行研究の調査も進めている。また本コーホート研究の理解も進んだことから、来年度は今年度の遅れを取り戻し、順調に進められる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度着手した2論文の執筆・投稿を共著者と連携しできるだけすみやかに終え、本研究課題のテーマである衛生仮説に関する文献レビューをさらに行う。これまでに蓄積されたデータの中から、研究仮説の優先順位を決定し、データ解析、考察を行い、本研究課題における質の高い論文をできる限り多く執筆し、衛生仮説に基づいたアレルギー疾患のリスク要因に関するエビデンスの蓄積を目指す。
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Causes of Carryover |
本コーホート研究のデータ管理システム刷新及び厳密なデータ収集のため、当初計画より人件費の支出が多くなった。そのため、研究推進に支障のない範囲で物品費は極力抑えた。来年度はデータ保存用外部記憶装置や参考図書、文具等を購入する。新型コロナウイルス感染症拡大のため、国内旅費が発生しなかった。これらの結果、次年度への繰越金が発生した。次年度は人件費を調整し、必要な物品を購入し、新型コロナウイルス感染症の状況が許せば学会発表及び研究相談のための国内旅費を支出する。また、今年度投稿に至らなかった論文の英文校正費と論文掲載料を来年度に支出する。
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