2021 Fiscal Year Research-status Report
新型コロナウイルス感染症拡大が介護保険下のリハビリテーションの提供に与えた影響
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20K23150
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松垣 竜太郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (40878344)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス / リハビリテーション / 介護保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度に実施したヒアリングを基に、令和3年度は通所リハビリ事業所、通所介護事業所、訪問リハビリ事業所に対するアンケート調査を実施した。 アンケート調査により、令和2年1月から令和2年12月の間に通所リハビリ事業所では17%、通所介護事業所では31%、訪問リハ事業所では14%が休業を経験していたことが明らかになった。また、平成31年/令和1年1-12月と比較した令和2年1-12月のサービス利用者数について介護度別に確認すると、要支援1・要介護1の利用者が減少したと回答した割合は54%、要介護2-4の利用者が減少したと回答した割合は46%、要介護5の利用者が減少したと回答した割合は27%であった。このことは、新型コロナウイルス感染症流行下においては、介護度の低い者ほどサービスの利用を控えたことが示唆された。サービス利用自粛者に生じた変化としては、身体機能が低下したとする割合が72%、認知機能が低下したとする割合が47%、認知機能が低下したとする割合が47%、活動意欲が低下したとする割合が59%、介助量が増加したとする割合が44%であり、サービス利用自粛により利用者の身体機能、認知機能等に悪影響が生じていることが示唆された。 アンケート調査により介護保険下でのリハビリ提供量減少の状況、介護保険サービス提供事業所に生じていた問題の一部が明らかになった。今後は、アンケート調査の結果に加え、レセプト情報の分析を行い、感染症拡大時であっても介護サービス理療者に対して途切れなくリハビリを提供するための方策を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染者数は増減を繰り返している。またレセプトデータの回収には時間を要するため、レセプトデータ分析の開始時期を可能な限り遅らせて実施することで計時的な変化を捉えることが可能となると考えて研究の実施を遅らせている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査の結果を受けて、感染症拡大下では介護度の低い利用者へのサービス提供量減少が問題であることが示唆された。そのため、介護度の低い利用者が感染症拡大下でも介護保険下リハビリを継続するための方策についての検討を進める。また、レセプトデータの分析を通して、サービス利用自粛者にその後生じた問題についての検討を進める。 なお、アンケート調査に関連する学会報告や論文作成を2022年度中に実施する。
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Causes of Carryover |
研究成果の学会発表、論文投稿を現時点では実施できておらずその費用が未使用である。令和4年度にアンケート調査に関する学会発表(2回)、ならびに論文投稿(3編)をおこない未使用の分の費用を使用する予定である。
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