2020 Fiscal Year Research-status Report
longitudinal study for effect of women's parity on psychological distress and lifestyle-related diseases after a large-scale disaster
Project/Area Number |
20K23161
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安川 純代 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (80618950)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 大規模災害 / ストレス耐性 / トラウマ反応 / 出産経験 / ソーシャルサポート / 生活習慣病 / 女性のヘルスケア |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模災害後は精神症状や循環器疾患を発症する割合が高く、影響要因の一つに災害後の避難生活がある。また、女性は出産経験の有無により異なる心理社会的因子を有し、大規模災害後の健康状態に違いのあることが予測される。そこで、本研究の目的は、1)東日本大震災の大規模災害後における避難経験が、精神的ストレス耐性や生活習慣病、循環器疾患との関連について与える影響を出産経験の有無別に疫学的検討すること2)出産経験の有無によるアウトカムへの影響要因を具体的に明らかにすること、とした。目的1)に対し、福島県民健康調査のデータを用い震災後の2012年にこころの健康・生活習慣に関する調査に回答した女性25,068人を対象として横断解析を行った。大規模災害後において出産経験のある女性(以後、出産経験女性)のうち避難経験のある女性(以後、避難女性)は、避難経験のない女性(以後、非避難女性)に対して、心理的苦痛、トラウマ反応、心臓病について、年齢・多変量調整オッズ比のいずれにおいても高いことが明らかとなり、多変量オッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ、1.30(1.17-1.44)、1.22(1.11-1.35)、1.14(1.03-1.26)であった。また、出産経験のない女性(以後、出産未経験女性)において、大規模災害後の避難経験の有無と関連のある項目は認められなかった。さらに、同データを用いて2012年から2015年まで追跡した14,989人の女性を対象として縦断的解析を行った。その結果、出産経験女性のうち避難女性は非避難女性と比べて、心理的苦痛、トラウマ反応、心臓病の年齢調整ハザード比が高く認められたが、多変量調整後は心理的苦痛のみ高いことが明らかになった;多変量ハザード比1.10(1.00-1.24)。出産未経験女性において、大規模災害後における避難の有無と有意な関連のある項目は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1)に対し、横断解析と縦断解析のいずれも上記記載の通り順調に進捗しており、横断解析の結果については、学会発表報告を行った。縦断解析についても再度検討を重ね、目的2)と並行しながら次年度遂行していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
目的1)の横断解析結果については、今後論文の執筆を進める予定である。縦断解析については、追跡期間の延長やアウトカムへの影響要因の具体化など詳細な検討を行い、学会発表及び海外ジャーナルへの論文投稿を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、学会や研修等出張に要する支出に余剰が生じた。次年度は、厳重な感染症予防対策を行うために必要な物品購入を予定している。また、研修会などの参加を積極的に行って研究者として自己研鑽を深めるとともに、英文校正や海外ジャーナル誌への論文投稿費用(ゴールドオープンアクセス投稿を行い、より有効な情報発信を行う)として研究費を有効に活用していく予定としている。
|
Research Products
(3 results)