2022 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待予防に向けた子育て支援サービスの検討-母親の内的作業モデルを通して-
Project/Area Number |
20K23175
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
宮野 幸子 名古屋女子大学, 健康科学部, 助教 (70881712)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 児童虐待予防 / 子育て支援サービス / 内的作業モデル / 乳幼児の母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は論文作成(翻訳)し、Journal of Wellness and Health Careへ論文投稿した(令和5年2月論文掲載)。 本研究により、母親の内的作業モデル(以下IWM)の安定型・アンビバレント型・回避型によって、子育て支援サービスへの要望に特徴があることが明らかとなった。IWMがアンビバレント型の母親は、育児不安感が高く家事・育児の相談者をネガティブに捉えていることから、育児に自信が持てるような評価的サポートが必要である。育児負担感も高かったことから育児の大変さを理解してもらえるような情緒的サポートに加え、育児から解放されるための一時保育が必要である。しかし、現行の一時保育事業に対しては利用しにくいと指摘もあることから更なるシステムづくりが必要である。IWMが回避型の母親は、育児サークルへの参加を希望する者が少なく地域子育て支援拠点事業の利用を希望しない・利用する必要がないと回答する者が多かった。さらに、地域子育て支援拠点事業に親子同士の交流を要望する者が少なかった。しかし、回避型は、孤独感と育児負担感が高いことから、親密さを好まない回避型の特徴をふまえてSNSなどを介した交流や情緒的サポートが有効である。 これらのことから、子育て支援サービスには子どもの状況に加え、母親のIWMを考慮する必要が示唆された。 児童虐待の要因とされる孤独感、育児不安感・負担感は母親のIWMと関連し、さらに子育て支援サービスへの要望にも影響することが明らかとなったことは、児童虐待予防のための子育て支援サービスの検討の一助となる。また、現行の子育て支援サービスが母親にとって利用しやすいサービスとなるシステムづくりが必要である。
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