2020 Fiscal Year Research-status Report
看護師の根拠に基づく実践を促進するナレッジブローカリング自己評価尺度の開発
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20K23178
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
赤崎 芙美 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (10880156)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ナレッジブローカリング / 根拠に基づく実践 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護師の根拠に基づく実践(Evidence-Based Practice,以下EBP)を促進するナレッジブローカリングに関する研究である。看護師にはEBPが求められており、エビデンスを実践に浸透させる人材育成が急務である。実践における知識の共有や、最良のエビデンスの使用を進める者をナレッジブローカーと呼び、知識の普及の情報源となる役割を担っている。また、彼らが実践でEBPのプロセスを促進するための方法がナレッジブローカリングである。ナレッジブローカリングとは、人々を結びつけて関係を築き、彼らのニーズを明らかにし、仕事をよりよくするためのアイディアやエビデンスを共有することである(CHSRF,2003)。本研究の目的は、EBPを促進するためのナレッジブローカリングの信頼性・妥当性が確保された自己評価尺度を開発することである。作成された尺度を用いてナレッジブローカリングを測定し、自己評価して内省することで、さらなるEBPに関連する能力の向上に寄与でき、エビデンスを実践に浸透させる人材育成が期待できる。 看護師のナレッジブローカリング尺度項目の作成を行った。対象者は、医療施設に勤務し、臨床経験5年以上、看護研究を行った経験を持ち、スタッフの看護研究や教育に携わった経験がある看護師12名を対象に、「看護師のナレッジブローカリング」について面接を行った。データ収集期間は2020年4月から11月であった。得られたデータから、看護師のナレッジブローカリングに関連している内容を抽出しコード化、カテゴリー化を行い、看護教育学の専門家と大学院教育に携わっている専門家からスーパーバイズを受け、結果をまとめた。分析の結果、ナレッジブローカリングの構成要素として、9つの大カテゴリー、33カテゴリー、108サブカテゴリー、1721のコードが抽出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、尺度項目の作成のため、看護師を対象に面接を実施してデータ収集を行う予定としていた。ところが、新型コロナウィルス感染症の世界的大流行および、数回にわたる緊急事態宣言の発令によって、研究協力者である看護師への研究依頼が困難となり、データ収集に多大な時間がかかってしまった。 現在はデータ収集を終えて、尺度原案を作成して研究結果をまとめている段階であり、看護師のナレッジブローカリング尺度項目の作成については、関連学会への発表準備を進めている。さらに、尺度原案の表面妥当性・内容妥当性の検討に関する文献収集を進め、現在倫理審査を受けるために研究計画書の作成や倫理審査に関する書類の準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、尺度原案の表面妥当性・内容妥当性の検討を実施する。グループインタビューの研究協力候補者も看護師であり、感染状況を考慮してインターネットを活用したオンラインのグループインタビューの実施を予定している。オンラインでの実施によって、対面によるインタビューよりも比較的研究協力が得られやすいと考えている。また、看護師のナレッジブローカリング尺度の内容妥当性指数の検討や、看護師のナレッジブローカリング尺度の信頼性と妥当性の検討についても、すぐ実施に着手できるように文献検討や資料の準備、研究協力依頼施設の抽出を進め、計画的に実施できるように進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度では、尺度原案の表面妥当性・内容妥当性の検討に関するグループインタビューの実施が遅れており、実施にかかわる研究協力者の交通費や、データ入力の謝金等の支払いがなく、次年度使用額が生じた。 次年度では、本年度の尺度項目の作成に関する研究結果について、学会発表を行う予定である。看護師のナレッジブローカリング尺度の内容妥当性指数の検討や看護師のナレッジブローカリング尺度の信頼性と妥当性を検討するにあたって、全国の医療施設500~700程度を抽出し、看護師1000名規模に調査を実施する予定である。そのため、次年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としている。
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