2020 Fiscal Year Research-status Report
Determining the current state of palliative care in the ICU and ER and the factors that influence the practice of palliative care
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20K23190
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 茜 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (90883215)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 緩和ケア / クリティカルケア / 看護実践 / 知識 / 認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、救命救急センター(ER)や集中治療室(ICU)などのクリティカルケア領域における緩和ケアに対する態度や知識、障壁を医療者の視点から明らかにすることを目的としている。 2020年度は全国の救急看護認定看護師、集中ケア認定看護師、急性・重症患者看護専門看護師 計742名を対象に質問紙調査を実施した。本調査では、回収率をあげるために、対象者全員にリマインドとして2回質問紙を送付した。384名(51.8%)より回答があり、そのうち359名が分析対象となった。対象者の属性をERとICUに区分し、t検定、Mann-Whitney U検定、χ二乗検定を行ったところ、性別と部署配属看護師数にのみ有意差があった。 緩和ケアの知識として、WHOの定義を知っているかという問いに対し、83.6%が「少し知っていた」、「知っていた」と回答した。また、施設内の緩和ケアチームへのコンサルテーションを行った経験の有無に関して、41.8%の看護師が「経験がある」と回答した。「経験がある」と回答した看護師が実際にコンサルテーションを行った内容として多い順(複数回答)に「難治性疼痛」(63.3%)、「呼吸困難」(45.3%)、「せん妄」(25.3%)であった。なお、緩和ケアチームへコンサルテーションを行った経験のある看護師のうちの58.7%は、看護師から直接緩和ケアチームにコンサルテーションを行うことができると回答した。 看護師の日々の実践において、スクリーニングを行っている患者の苦痛症状は「疼痛」(93.9%)、「せん妄」(78.3%)である一方で、口渇(3.1%)、倦怠感(4.2%)はスクリーニング実施率が低かった。 緩和ケアの障壁に関しては、「緩和ケアに関する知識や技術が不足している」(70.5%)の回答が最も多く、次いで「緩和ケアチームにタイムリーに相談できない」(65.5%)が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、クリティカルケア領域の看護師の緩和ケアに対する知識や認識、実践状況および障壁の概容をアンケート調査より明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの概容の背景にある看護師個人の経験や看護観を記述するためにインタビュー調査を行う予定である。現在、倫理申請中であり、調査対象候補者からの内諾も得られている状況であるため、調査の進捗に遅延はない。しかしながら、対象となるクリティカルケア領域の看護師らは現在COVID-19に最前線で対応している看護師であり、調査協力が負担となることが懸念される。感染拡大状況を踏まえながら、インタビューを実施し、アンケート調査結果との統合を図っていく予定である。
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Causes of Carryover |
[理由]コロナウイルス蔓延に伴い、他県への移動を自粛していたため旅費が発生しなかった。また、インタビュー調査の対象者らが感染症対応を行う集団であるため、インタビューの調整が行えず謝金が発生しなかった。[使用計画]令和3年度はワクチン接収を終えた対象者らにインタビューを行っていくことを予定している。そのため、謝金が発生することが見込まれる。また、令和3年度は調査結果を国際誌に投稿するため、英文校正費および投稿料が発生する。
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