2020 Fiscal Year Research-status Report
医療崩壊の危機が迫るCOVID19パンデミック最前線の現場における実践の成り立ち
Project/Area Number |
20K23202
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
野口 綾子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨地指導助教 (20871594)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | COVID19 / 実践 / エスノグラフィ / クリティカルケア / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、世界は新型コロナウイルスSARS-CoV-2(COVID19)の世界的大流行(パンデミック)により、これまで経験したことのない感染症の重症患者をかつてないほど同時多発的に抱える事態に直面している。未知のウイルスによるパンデミックの最前線で、重症患者をケアする医療者はいかに実践を達成していくのか、といったことは十分に明らかではない。 本研究は、エスノグラフィーの手法を用いて、医療崩壊の危機が迫るパンデミックの最前線で生起する現象とその渦中で治療やケアを行う医療者や患者家族の経験から、実践の成り立ちを記述することを目的としている。 本研究の成果は、今後起こりうる新興感染症のパンデミックの危機に備え、現場に必要な準備性やその際の医療者の負担軽減を検討することに役立つ。また他者が医療者の未曾有の経験を理解することを可能にする。 現場のそれぞれの医療者はどのような経験をするのか、実践がどのように達成されるのかを明らかにするために、実施計画に沿ってデータ収集①参加観察②面接調査③資料収集を実施した。①参加観察は、第一種感染症指定医療機関で新型コロナ患者の受け入れ施設となり、かつ地域の医療圏で重症患者の治療を担うことになった大学病院で行った。既知の知見や日本の他施設において経験が乏しい状況で、実践を成り立たせていく現場のデータを得た。②面接調査は、当該施設の現場の看護師、医師、臨床工学技士、重症患者、医療事務計18名にインタビューを実施している。③医療施設内の通達資料や、現場管理者が作成した状況報告書、写真などもデータとして収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施施設の現場の理解と協力が得られ、医療者の二次感染や施設が著しい機能不全に陥ることなく経過し、それらの状況に恵まれたことより現在までの研究活動が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、得られたデータからまずそれぞれの実践を成り立たせる現場の文脈と固有の経験の意味を分析する。それらから実践がどのように達成されるのかを明らかにし、現場の文脈を共有する複数の実在を包含する実践誌を記述する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響で所属施設の規定により府外の出張は自粛要請がでていたため、予定していた研究会・学会参加における旅費を使用しなかった。 所属施設の異動により研究実施施設から遠方になったため、次年度の旅費に移行し研究遂行をより強化する予定である。
|