2020 Fiscal Year Research-status Report
小児期に病気を発症したAYA世代患者の社会生活支援に関する研究
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20K23206
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宗 皓 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 助教 (80876970)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | AYA世代 / 小児看護 / 社会生活支援 / グラウンデッド・セオリー・アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期に病気を発症し AYA(Adolescent and Young Adult)世代を迎えた患者は、進学・就労・結婚・出産・育児などのライフイベントに際し、疾患が要因となり社会生活の中で種々の困難を有する。しかし、どのような要因がどのように影響し困難を持つのか、具体的なプロセスは明らかでない。本研究では、そのプロセスを患者の実際の思いや経験に基づき、帰納的に導出することを目的とする。2020年度は国内の小児期に病気を発症した AYA 世代患者を対象に、グラウンデッド・セオリー・アプローチ法を用いてデータ収集と分析をおこなった。対象者の選定のため、本研究では、20歳までに小児慢性特定疾患に罹患した、15歳から39歳までのAYA世代の方で、現在も治療中あるいは経過観察中である者、もしくは後遺症や晩期合併症等で生活上の制限をもつ方を対象とした。国内の慢性疾患の患者会および研究協力者からの協力を得て、広く研究参加者の募集をおこない、本年度は2名のAYA世代に参加をいただいた。その結果、暫定的ではあるが、《自分に対する価値観の揺らぎ》という概念に代表され、関連する8つの概念から構成される現象を把握した。把握した現象のプロセスには、小児期から患者自身がつくり上げてきたアイデンティティに関連する概念が関わり、現在の AYA患者がもつ自身への価値観に影響を与え、それが、社会生活における課題が発生する背景の構造に関係すると考えられる。しかし、本年度は COVID-19の影響も強くあり、データ収集および参加者の募集に制限があり、未だ不足しているデータが多くあるため、2021年度も調査を継続することより結果を統合し、報告すると共に、支援プログラムの開発と試験実施を改めて計画する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の基礎調査であるインタビュー調査において、本年度は予定していた参加者数を得ることができなかった。研究開始後、新たに国内の患者団体の協力を得るなど、対象者の募集機会を増やしたものの、2名のみの応募および参加となった。ヒアリングの結果、COVID-19の影響により、研究協力者からの案内の機会が限られてしまうこと、およびCOVID-19下でのインタビューに難色を示されることが、研究参加に消極的な主な要因であることが分かった。合わせて、研究代表者がどのような人物か目にすることなく、研究への応募をおこなうことに抵抗感が生じている可能性もある。研究の推進方策にも沿って、今後の研究計画を実行する。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査については、患者会やイベントの際には参加の機会をいただき、研究案内の機会をさらに得られるよう、研究協力者および研究協力団体と交渉し、研究の遂行に努める。および、COVID感染拡大状況下での計画遂行のため、オンラインによる、調査やプログラムの実施を念頭に置いて、改めて計画を立て、本年度は研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
本年度、COVID-19の影響により、本研究の基礎調査であるインタビュー調査の進捗に遅れが生じた。その影響により、計画していたプログラムの開発にも遅れが生じ、係る人件費や会合費、謝品の贈呈において未使用の金額が生じた。ならびに、一部オンラインでの調査に切り替えたため、調査に係る旅費、施設費が不要となったことも一因である。次年度使用額については、本年度に引き続いての調査に係る費用として、使用する計画である。
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