2022 Fiscal Year Annual Research Report
大規模データを用いた癌患者の終末期ケアにおける治療体制の医療費への影響分析
Project/Area Number |
20K23215
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
宅本 悠希 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (10880172)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 終末期 / ナショナルデータベース / 医療費 / 緩和ケア / 癌 / 大規模データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度の研究成果】 当該年度では、前年度までに実施したNational database(NDB)サンプリングデータセット(SD)を用いた癌終末期医療費の推定について、非死亡患者を対象とした分析を行った。この集団を対象とした分析を行うことで、死亡直前以外の癌患者における医療費の実態を推定できると共に、前年度までに実施した死亡直前の癌患者を対象とした医療費推定との一貫性を評価する一助になると考えた。具体的には、NDBのサンプリングデータセット(期間:2015-2019年における4月及び10月、合計10ヶ月分)から、5歳以上でがんの確定診断を1つ以上持つ患者のうち、癌に対する積極的な治療(外科的治療、放射線療法及び化学療法)を実施しておらず、死亡していない者を対象として直接医療費の集計を実施した。結果として、解析対象として70,672人が抽出された。解析対象の年齢階層は65-74歳未満が13,662人(19.3%)、75歳以上が57,010人(80.7%)、主要ながん種は胃がんが12,271人(17.4%)、結腸がんが12,007人(17.0%)だった。1か月及び1週間の累積医療費の平均値(SD)は、それぞれ691,263円(302,653円)、186,689円(83,976円)だった。医療費の変化は癌腫、入院種別及び緩和ケア病棟の有無等の影響が大きいことが示唆された。 【研究機関全体の研究成果】 NDB-SDを用いることで、本邦における癌終末期医療における死亡直前を主とした直接医療費を明らかにすることができた。医療費には病床区分の違いが与える影響が示唆され、高齢患者は緩和ケア病棟への入院が少ない実態もあった。本結果は、NDBのSDを用いたものであるため、必ずしも広く代表性を担保するものではないものの、大規模データを用いた一定程度の外的妥当性を有する結果であると考えられる。
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