2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on contribution of hidden out-of-pocket expenses to household catastrophic expenditure on health in Vietnam
| Project/Area Number |
20K23228
|
|---|
| Research Institution | Nagasaki University |
|---|
Principal Investigator |
相賀 裕嗣 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (20884175)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
| Keywords | 医療費 / ベトナム / ユニバーサルヘルスカバレッジ / 保健財政 / 健康保険 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
ユニバーサルヘルスカバレッジ（UHC）は、人々が経済的困難を伴わずに医療サービスを利用できる状態を示す。UHC指標として医療費自己負担分（OOP：Out-of-pocket）支出が世帯総支出の25％を超える破滅的医療支出に陥る世帯の比率がある。ベトナムでは入院患者の食事・介助等が家族の責務であるためこれらの『隠れたOOP支出』を『国際定義に基づくOOP支出』に加えた『実質OOP支出』に基づく破滅的医療支出世帯の比率は、従来の値より高いと予想される。本研究では、『隠れたOOP支出』を含む『実質OOP支出』を算出し、破滅的医療支出世帯の過小評価を明らかにし、OOP支出の国際定義に課題提起を試みる。病院の入院患者データベースから無作為に患者を抽出する。このように抽出された患者ならびにその世帯を対象に、医療費自己負担分OOPデータを入院患者の家族との構造化インタビューにより収集する。2020年度から2021年度に繰り上げた活動のうち、①ハノイ公衆衛生大学への調査委託の契約締結、②調査対象国ベトナムにおける研究倫理審査、③電子質問票の作成・プレテスト・最終化、④病院における医療支出データの収集費情報システムからの474人の入院患者世帯の医療支出データの収集、の活動が完了した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年9月の本『研究活動スタート支援』の研究費交付の時点で、既にベトナム政府はCOVID-19パンデミック発生のため外国人の入国に制限を設けており、現在もなお入国は極めて困難であり、仮に入国できたとして研究代表者自身でデータ収集全体を現地で管理・監督することは依然不可能である。このような状況のため約1年の遅れを生じているが、①本補助金事業の延長の承認、②データ収集全般のハノイ公衆衛生大学への委託、により、令和3年度は1年遅れを取り戻すことはできなかったが、ほぼ1年遅れの状況を維持しつつデータ収集作業までを完了できた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2021年度内にデータ収集作業までを完了できたので、2022年度は、引き続きハノイ公衆衛生大学に収集したデータのクリーニングならびに変数定義等の作業を委託する。それにより、2022年7月末を目途に分析が可能な形でのデータセットを入手する。その後、①データ分析、②論文執筆、③論文の学術誌への投稿、を実施する予定である。さらに、もし可能なら、学会発表も野心的に取り組みたいところである。
|
| Causes of Carryover |
2020年3月に発生したCOVID-19パンデミックのため、同年度の活動は①質問票（案）の作成、②倫理審査の申請といった費用の発生しない活動に留まった。その結果、2020年度から2021年度への繰越額が生じた。翌年2021年度に、2020年度の遅延を完全な形で修復することはできなかった。①当初予定していた冬季・夏季の2季の調査を冬季1回の調査とする、②研究代表者がベトナム渡航しない形でデータ収集を行う―等の調査方法に修正し、データ収集を2021年度末の12月～3月に完了した。これにより、当初2021年度中に完了するデータクリーングやデータ分析さらには論文執筆を等の活動は、2022年度に繰り越さざるを得なかった。このように、当初の計画の丁度12か月遅れで現在のところ進捗している。よって、2022年度は、①データクリーニング作業、②データ分析、③論文執筆、④論文の学術誌への投稿、⑤学会発表―を実施する予定である。それらに必要な費用として、データ分析支援要員の雇用、論文投稿料、学会登録料等の支出が想定される。
|
