2020 Fiscal Year Research-status Report
Building a maternal and child health support system in the disaster and evacuation with the emerging infectious diseases
Project/Area Number |
20K23230
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
吉田 穂波 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (20626113)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 新型コロナウィルス / 災害対応訓練 / 母子保健 / 新興・再興感染症 / オンライン研修 / シミュレーション / マッピング / カルキュレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の災害において、これまでの災害対応の中心となっていた指定避難所以外の場所(親せき宅、車中泊、テント等)で、感染予防策を取りながら、人口の半分以上を占める災害時要配慮者(高齢者、障がい者、外国人、乳幼児、妊産婦)への配慮を考慮する重要性が高まっている。避難所へ行かなければならない場合はどこへ避難すればよいのか、また、災害のタイプ(地震、家の倒壊、津波、家事、水害、土砂災害)によってどのような適切な配慮が必要なのか、妊産婦・乳幼児に的を絞って避難時の課題を抽出するため、シミュレーション研修を行う基盤を構築した。まず、情報を集約し、共有し、地域の特性を生かした形で利活用できるよう、オンライン上のプラットフォームが必要であると考え①アカデミアサイト:これまでの知見を無料でダウンロードできる②コミュニティサイト:それぞれの地域における妊産婦・乳幼児向け避難所を一元化できる③ラーニングサイト:研修プログラムや動画④ビジネスサイト:民間企業等で健康経営の一環として利用できる⑤リソースサイト:プロジェクトに賛同する専門家、講師、団体等を一覧できる、という5つの機能を持ったウェブサイトを構築した。また、本研究テーマについて広く知ってもらうために、ブランディングとヘルスコミュニケーション戦略の一環として、普通の家庭が災害に遭い、当たり前の日常を思い出すというコンセプトムービーを製作し、私たちのターゲット層へのアプローチを行った。これは、災害時の妊産婦・乳幼児救護において、情緒的価値を見せ、共感、安心感、事前の期待値を生み出し、事後の満足度を上げるという効果を狙っている。また、災害時の備えに関する話題作りにもなり、コンセプトムービーが繰り返し再生され、共有されることで、世論形成につながり、災害時の妊産婦・乳幼児救護事業の自治体における優先順位が上がることにつながることをねらいとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究事業は初年度の9月に採択が決定された。それまでに研究計画はある程度固まっていたものの、実際にウェブサイトを構築し、研修動画等を作成するためには5か月を費やした。当初目的の基盤構築は達成しており、二年目は、この基盤を活かしながら実際のシミュレーション研修や課題抽出、災害時の妊産婦・乳幼児を始めとした弱者に必要とされるオンライン支援ツールを開発することが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン形式のシミュレーションにより全国どこにいても参加できる遠隔教育システムにより人材育成を可能とする。本研究では、在宅避難を行う家族だけでなく、参加する支援者にとっても益となるような自己学習とグループ学習を組み合わせることにより、今後必要となる福祉避難所・在宅避難支援ガイドラインの策定に寄与するとともに一定水準以上の知識や技術、スキルをもつ人材養成が期待できる。支援者の養成研修プログラムの効率性や効果についても評価を行い、より普遍性のあるものとして全国の自治体で使えるパッケージとして提供する。また、妊産婦・乳幼児の避難生活を支援する福祉避難所(母子)の全国的な設置状況について調査を行い、シェルターマッピング、として地図上に可視化し、実情を把握する。各自治体における妊産婦・乳幼児数を可視化し、災害時に支援者や避難所運営者、地域の児童委員が受援体制を構築する根拠資料とする。これらの取り組みにより、COVID-19感染予防に伴う在宅避難への支援体制とパンデミック対策について、防災・感染症対策両方の知見を適切かつ有機的に結び付け支援側のネットワークを共有し、相互連携の促進に不可欠な情報共有システム開発へとつなげる。
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Causes of Carryover |
本年度の基盤構築により可能となった、オンライン上のシミュレーション研修を広げるために次年度の使用とした。
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Remarks |
このウェブサイトでは、これまでの研究結果、知見と、このプロジェクトのミッション、災害時母子シェルターマップ、災害時のクイズ、災害準備に役立つ無料ツール、ニュース、お問合せ先を掲載しています。
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