2022 Fiscal Year Annual Research Report
専門職連携における意思決定水準を高める高齢者虐待支援の指標開発
Project/Area Number |
20K23232
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
栗田 真由美 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (50885225)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者虐待防止支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のはじめに、養護者を含めた在宅の高齢者虐待防止支援に関する研究から知見の得られていない支援を明らかにすることを目的にスコーピングレビューの方法を用い研究動向を整理した。日本語12編、英語13編の合計25編の論文が選定された。日本語論文は介護支援専門員等の相談支援者、英語論文は家族介護者が研究対象である者が多かった。日本語論文は、高齢者及び養護者の対象理解から社会全体で支える研究、英語論文は、養護者支援を含めた介入方法の検討や虐待防止における家族介護者への介入効果の報告がされ、対象者の違いが、研究動向の違いに繋がっていた。 次に熟練保健師の経験による分離と在宅生活継続の判断支援について、質的調査内容を内容分析を行い、タナーの臨床判断モデル(気づき、解釈、対応、省察、背景の5つ)を用いて、構成要素を整理し、構造化した。熟練保健師7名に半構造化面接にて、高齢者虐待相談支援内容についてインタビューを実施した。分析の結果、397コード、65カテゴリーが抽出され、タナーの臨床判断モデルを修正した。 虐待相談介入初期は、【気づき】「生命の危機」「不適切な介護状態」を予期し、それに伴う「初期把握」がされる。次に【気づき】から結果を導く「高齢者側の要因」「養護者側の要因」「双方の要因」等の【解釈】が行われる。その際、「揺るがす要因」が存在し、「生命の危機レベル」「分離/在宅かを解決に対する両者の同意」を得ながら「結果判断」に繋がる。その対応は、目前の人々の【安全で幸せな生活を目指す対応】がなされる。この対応から養護者の反応を経て【解釈】までを行き来した結果、熟練保健師の臨床的学び【省察】、から「保健師側の背景」などの【背景】に繋がるプロセスを示した。今後、さらに熟練保健師の実践知に養護者の反応を加え、双方向からの指標開発を継続的に研究実施し、専門職連携に活かせる指標開発を要する。
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