2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of analytical methods for residual antibiotics in processed food
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20K23248
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
平田 祥太郎 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (40880472)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 加工食品 / 残留抗菌性物質 / エマルジョン形成 / 脂質除去 / HPLC / アセトニトリルヘキサン分配 / テトラサイクリン系抗生物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は加工食品を対象にテトラサイクリン系抗生物質(TCs)等の抗菌性物質を迅速かつ簡便に検出できる分析法の検討に着手した。検討の結果、以下3つのことが明らかとなった。 1. 食品衛生法においては、一部の加工食品に対して農薬の残留基準があるが、試験法については、通知試験法を準用することとなっている。しかし、実際に準用可能かを評価した報告は極めて限られている。動物用医薬品の中でもTCsは最も汎用されている抗菌性物質であり、検査の必要性が高いと言える。そこで、厚生労働省から示されているTCsの通知試験法を加工食品に対して準用した場合に、試験溶液の調製が可能か評価することとした。テトラサイクリン系抗生物質通知試験法を加工食品に凖用すると、脱脂工程において強固なエマルジョンが発生し、試験溶液調製が困難であった。 2. 加工食品は未加工食品に比べてタンパク質や脂質を多く含むものがある。TCs通知試験法に除タンパク用抽出溶媒による除タンパク工程とアセトニトリル/ヘキサン分配法による脱脂工程を組み込んだ改良法を検討することにした。改良法では、脱脂工程においてエマルジョンが発生せず、試験溶液調製が可能となった。 3. 改良法の性能評価のため妥当性確認(1日2併行、5日間)を行った。その真度、併行精度および室内精度は、それぞれ77.0~99.1%、1.6~9.6%および3.4~14.1%であり、厚生労働省通知ガイドラインの目標値を満たした。 改良法は簡便な精製だけで、夾雑成分の多い加工食品に対して良好な真度/精度で分析可能であった。これより、本法は、加工食品中の残留抗菌性物質モニタリングに有用な分析法と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は当初の計画通り、加工食品を対象とした残留抗菌性物質分析法の確立に成功した。得られた成果を基に2021年度は学会発表や査読付き学術誌への投稿を予定している。こうした進捗状況より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の取り組みにより、加工食品を対象とした残留抗菌性物質分析法の確立は完了した。この分析法を活用して、2021年度は研究計画どおり「調理加工に伴う残留抗菌性物質の消長を明らかにする」に着手予定である。調理加工工程としては「煮込み加工」および「揚げ加工」を検討している。これら調理加工に伴う各抗菌性物質の食品中残存率と物理化学的性状の間にある相関関係を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:新型コロナウイルス感染症拡大に伴い参加予定であった学会が中止となった。そのため、旅費の使用額が予定より少なくなった。また在宅勤務の増加により実験器具や消耗品の使用が予定より少なくなったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額の使用計画:2021年度は調理加工に伴う抗菌性物質の消長評価に使用する予定である。新型コロナウイルス感染症拡大の状況次第ではあるが、次年度使用額を用いて積極的に学術学会に参加し、食品化学的知見の収集に努めていきたい。
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