2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synaptic control mechanism by microglia after thalamic hemorrhage
Project/Area Number |
20K23254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平賀 慎一郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00632663)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 脳出血 / ミクログリア / シナプス貪食 / 回路再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「シナプス除去」と「疼痛発症」に関与するミクログリア亜集団に着目し、痛覚回路再編を伴う脳卒中後疼痛の発症機構を解明することを目指して研究を行ってきた。前年度では感覚野組織を用いたRNA-seq及びqRT-PCRによりシナプス貪食関連因子が出血後7日目(疼痛誘発期)に増加することを確認した。また、これら遺伝子の中からミクログリア特異的に発現する遺伝子を欠損したマウスを導入し、出血後に認められる疼痛が抑制されること、および視床ニューロンの投射先である感覚野においてシナプス数の減少が抑制されることを見出した。2021年度では、ミクログリア特異的遺伝子欠損マウスの脳からミクログリアをセルソーターにより単離し、RNA-seqにより網羅的遺伝子発現解析を実施した。その結果、ミクログリア特異的遺伝子欠損マウスでは、リソソームのマーカータンパク質であるCD68を含み、貪食関連因子の発現が減少していた。またflow cytometryによる解析でも同様に、ミクログリアにおいて貪食関連因子の発現が減少することが明らかとなった。以上より、視床出血後の感覚野においてシナプスを除去するミクログリア亜集団は、脳卒中後疼痛の病態形成に関与することが示唆された。今回、同定したシナプス除去に関わるミクログリア亜集団を含み、異なる機能を有するミクログリアの存在は、従来の疼痛治療薬では効果を示さなかった神経障害性疼痛に対して、副作用の少ない新薬開発につながる可能性が期待される。
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