2020 Fiscal Year Research-status Report
母子隔離ストレスモデルによる海馬可塑性変化と下部尿路機能障害発症機序の解明
Project/Area Number |
20K23256
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上條 中庸 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30757555)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 幼少期ストレス / 排尿 / 神経可塑性 / 低出力体外衝撃波 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
ネグレクトや虐待等の幼少期ストレスは,大脳機能に構造的変化を与え,排尿機能障害をもたらすことが知られている。例えば,心的外傷後ストレス障害(PTSD)は,夜尿・尿失禁等の排泄障害を誘発する。本研究では,幼若期のストレスモデルとしてラットの生後間もない仔を母親から一時的に引離す母子隔離モデルを用い,ストレスによる海馬,下部尿路機能障害の新たな疾患発症機序の解明を目指す。また,近年着目されている排尿機能の自己再生を高める非侵襲的な手法である低出力体外衝撃波による治療と,ホルモンバランスフィードバックと神経可塑性を利用した下部尿路機能障害治療・ストレス対策の確立につなげる。 本年度は研究職へ戻った初年として実験系の立ち上げを行った。まず行動実験をするための環境を整えた。行動評価を行うために2種類の迷路(高架式十字迷路とY字迷路)を導入し,動物実験施設にてコントロール群として出産させた仔の行動観察を行った。また,リアルタイム排尿測定が出来るように代謝ケージを用いたシステムを構築し,排尿活動の定量化が出来ることを確認した。行動実験の結果、対照群では成長に伴った活動量の増加と9週齢では不安様行動に性差が顕著に見られた。 今後,母子隔離モデルについて行動評価(主に不安様行動),膀胱機能評価(排尿頻度、排尿量、膀胱内圧測定),神経可塑性評価(海馬歯状回における短期可塑性)を行った上で中枢の機能変化と末梢である下部尿路障害の疾患発症機序の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各評価について予備実験を行ったところ、興味深い現象が見られた。特に治療に関しては一定の効果が見られることが想定されるため、重点的に評価出来るようにする。
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Strategy for Future Research Activity |
1)母子隔離ラットの作成と行動評価、膀胱機能評価、可塑性評価 動物実験施設にて出産させた仔を生後2日目から14日目まで1日6時間母から隔離する。生後21日目で離乳させ、雌雄に分け各ケージ2-3匹で飼育する。離乳後に高架式十字迷路とY字迷路で行動評価し、代謝ケージを用いて24時間のリアルタイム排尿計測をおこなう。その後、9週齢目に再度高架式十字迷路とY字迷路で行動評価を実施し、代謝ケージにて排尿計測をして膀胱機能評価をおこない、そのまま短期可塑性の検証を行う。 2)下部尿路障害の治療の影響評価 母子隔離モデルについて、生後9週で膀胱に対して低出力体外衝撃波を照射し、行動、膀胱機能、可塑性に対して比較を行う。 3)性差の比較 行動実験に限らず、性差についても比較する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究発表についての旅費の使用がなくなったための差額である。 令和3年度に電気生理実験のための試薬購入にあてる。
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Research Products
(1 results)