2021 Fiscal Year Annual Research Report
母子隔離ストレスモデルによる海馬可塑性変化と下部尿路機能障害発症機序の解明
Project/Area Number |
20K23256
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上條 中庸 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30757555)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 幼少期ストレス / 排尿機能 / 膀胱 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どものネグレクトや虐待などのストレス経験は脳(中枢)だけではなく、排泄機能(末梢)の障害に関わり、全身性の影響は成長後も続く。そこで幼児期に適切な学びを要する排尿に着目し、中枢のストレス制御機構と、排尿障害をもたらす末梢―中枢ネットワーク変化及び連携を解析した。本研究では幼少期母子隔離ストレスモデルを用いて中枢領域で生じる変化がなぜ末梢の排尿障害を誘発するか全身性脆弱性形成メカニズムを検討した。 【対象と方法】Sprague-Dawleyラットの仔を生後2日から14日目まで1日6時間母親から離す母子隔離(MS)モデルを作成した。生後21日で離乳した。正常郡、MSモデル郡の行動実験と膀胱機能測定を行った。膀胱機能測定は、生後3週齢、9週齢それぞれで代謝ケージによる24時間の尿量測定で、排尿回数と1回排尿量測定を24時間と明期、暗期で比較した。また、膀胱内圧測定による膀胱収縮間隔、基線圧、閾値圧、排尿量と残尿量の変化を比較した。行動実験は、Y字迷路を用いた自発行動量、空間作業記憶、高架式十字迷路を用いた不安関連行動評価を実施した。 【結果】膀胱機能測定では、代謝ケージ実験から3週齢MS群は24時間の総排尿が少なく、明期、暗期共に1回排尿量が少なかった。排尿回数には差が見られなかった。膀胱内圧測定から3週齢MS群で1回排尿量が多かった。9週齢では1回排尿量がMS群で少なくなり、排尿間隔が短くなっていた。行動実験の結果、Y字迷路では、3週齢、9週齢共に短期記憶には影響がないことが分かった。高架式十字迷路の結果、対照群に対して幼少期と成長後で活動性が逆転し、成長後には不安に対して鈍化することが分かった。 【今後の展望】幼少期ストレスによる末梢の障害を治療することによって、中枢に対してどのように作用するか検証する。
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Research Products
(1 results)