2020 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷後の呼吸筋支配運動ニューロンの可塑的変化にリハビリテーションが与える効果
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20K23257
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
河村 健太 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 特任助手 (00875742)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 横隔神経 / 運動ニューロン / 呼吸筋トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では頸髄損傷モデルを作成して受傷早期から呼吸筋トレーニングを実施することで、横隔神経運動ニューロンの形態学的特徴を解析することを目的としている。2020年度は1)頚髄半切除モデルの作成、2)横隔神経運動ニューロンを染色するための横隔神経剖出方法の確立、3)呼吸筋トレーニング方法の確立に向けて取り組んだ。 1)無菌下で脳定位固定装置に固定し、皮膚を切開して頸部の筋を切離した後、頸椎を露出させ、椎弓切除を行って頸髄の背側を露出させた。頸髄は正中から左半切除を行った。切除後に閉創し、動物が回復する様子を観察した。半切除後には四肢の運動機能、横隔膜の運動は減弱~消失したものの、徐々に回復する様子が観察された。3か月経過した段階では観察上、安静時において左右差が見られないほどに回復を示している。 2)無菌下でラットの腹側からアプローチを行った。横隔神経は気管や迷走神経と水平方向に走行し、腕神経叢の腹側に走行していることを確認した。染色物質を投与するスペースを確保できることも確認した。 3)呼吸筋トレーニングを行う装置を作成した。密閉した容器に二酸化炭素の混合ガス投与しながら、筋電図活動・呼吸運動による圧力変化の計測を行えるような設計を行った。 以上の結果をもとに、2021年度は頚髄損傷モデルのラットに対して呼吸筋トレーニングの介入と運動ニューロンの形態学的解析を進めていく予定である。概ね頸髄半切除後の染色や機能回復を観察するための準備が整ってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗としては頸髄半切除モデルの作成と横隔神経の露出までの手技は概ね確立できている。呼吸負荷を与えつつ、各種呼吸機能を測定するための装置も作成が完了している。横隔膜の筋電図については、ラットの横隔膜は薄く損傷しやすいため電極の留置方法を再検討している段階である。染色の試薬やトレーニングに使用する物品の納品が遅れたため、実際の介入は開始できていないが、今年度は実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は頸髄半切除モデルに呼吸負荷を与えてその回復過程を観察し、コントロール群と比較していく。また、頚髄半切除後のラットの横隔神経から横隔神経運動ニューロンの細胞体を逆行性に染色し、その変化を観察していく予定である。横隔膜の筋電図電極についてはワイヤ電極の太さや留置位置を検討することで横隔膜の筋活動の計測を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延による影響で物品の調達が遅延したため、次年度使用額が生じた。次年度において物品を調達予定である。
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