2021 Fiscal Year Research-status Report
カリウムのストレスにおける役割の解明とメンタルヘルスケアへの応用
Project/Area Number |
20K23258
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
持田 淳美 (齋藤淳美) 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (80709022)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
Keywords | KATPチャネル / Kir6.2 / ストレス / 情動 / 不安 / グリベンクラミド / ジアゾキシド / かんぴょう |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、グリベンクラミドの腹腔内投与が不安様行動を惹起するという昨年度の結果に基づき、グリベンクラミドの慢性投与がストレス適応モデルマウスにおいて情動性の低下を引き起こすか否かについて検討を行った。その結果、溶媒として用いた4%DMSO/45%PEGの影響のためか、慢性投与の途中で死亡してしまうマウスが多く、十分な例数が確保できなかった。そのため、溶媒を0.5%Tween20/Salに変更し、再度、急性ストレスに対するグリベンクラミドの効果について検討するため、グリベンクラミドを腹腔内投与したマウスに急性拘束ストレス刺激を負荷した後、行動学的試験に従い検討を行ったが、急性ストレス刺激に対してグリベンクラミドは何ら影響を及ぼさなかった。また、グリベンクラミド単独投与の効果についても行動学的試験に従い検討を行ったが、グリベンクラミド投与は情動行動に何ら影響を及ぼさなかった。 そこで次に、グリベンクラミド慢性投与がストレス適応および非適応モデルマウスに及ぼす影響について検討するため、1日1回1時間または4時間の拘束ストレス刺激を14日間負荷したストレス適応および非適応モデルマウス作成時において、グリベンクラミドをストレス負荷前に慢性投与し、最終ストレス刺激負荷直後に行動学的試験に従い検討を行ったが、いずれにおいても変化は認められなかった。 そこで、KATPチャネル開口薬であるジアゾキシドを用いた検討を行うこととした。まず、急性ストレスに対するジアゾキシドの効果について検討するため、ジアゾキシドを腹腔内投与したマウスに急性拘束ストレス刺激を負荷した後、行動学的試験に従い検討を行ったが、急性ストレス刺激に対してジアゾキシドは何ら影響を及ぼさなかった。また、ジアゾキシド単独投与の効果についても行動学的試験に従い検討を行ったが、ジアゾキシド投与は情動行動に何ら影響を及ぼさなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」に記載した通り、昨年度の結果に基づき、グリベンクラミドの慢性投与がストレス適応モデルマウスに及ぼす影響について検討を行ったが、溶媒の影響により多くのマウスが死亡してしまい、十分な例数を確保できなかったため、溶媒を変更してグリベンクラミドの急性投与の検討から再度検討をし直したため、予定より研究が進行しなかった。 また、これまでの研究結果および先行研究より、グリベンクラミドがストレス適応モデルにおいて、情動性の低下を引き起こすのではないかと考え検討を行ってきたが、予想に反して、ストレス適応モデルに対して何ら影響も及ぼさなかった。そこで、ストレス非適応モデルマウスの情動性の低下を改善させるのではないかと考え検討を行ったが、こちらも予想に反して、ストレス非適応モデルマウスに対して何ら影響も及ぼさなかった。これらの過程も、研究が予定より進行しなかった理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果および先行研究より、グリベンクラミドがストレス応答やストレス適応および非適応モデルに及ぼす影響について検討を行ってきたが、グリベンクラミドは何ら影響を及ぼさないことが明らかとなった。そこで、ATP感受性カリウムチャネル開口薬であるジアゾキシドがストレス応答やストレス適応および非適応モデルに及ぼす影響について検討を行うこととした。まず行動学的検討を行い、変化が認められた場合、脳サンプルを採取し、ストレス応答に重要なセロトニン神経系およびドパミン神経系などを中心としたタンパク質および遺伝子発現の変化をWestern blot法およびPCR法に従い検討を行うことで、その分子メカニズムの解明を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ禍で慢性実験を組むことが難しかった。また、グリベンクラミドの慢性投与の影響について検討を行ったが、予想以上に溶媒による影響が大きかったため、溶媒を変更して再度検討をし直した。したがって、2021年度の検討のために見積もっていた各種消耗品の費用を次年度へ繰り越すこととした。なお、本来、2021年度に実施予定であった実験については、可能な限り早期から着手するように努める。
|