2020 Fiscal Year Research-status Report
運動歴は高齢期の骨格筋機能へ影響するか?-運動種目と実施年代に着目してー
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20K23261
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田端 宏樹 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (50876886)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋機能 / 運動歴 / 四肢骨格筋量 / 筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢期の骨格筋機能の維持に有効な運動歴を明らかにするため、地域在住高齢者コホートを用いて、若年期および高齢期の運動習慣の組み合わせが高齢期の骨格筋量および筋力に与える影響を検討した。 文京区在住の高齢者を対象とした観察型コホート研究“Bunkyo Health Study”のベースライン測定に参加した65~84歳の男女1607名(男性679名、女性928名)のデータを解析対象とした。思い出し法による運動習慣のアンケート調査結果を基に、対象者を中学校または高等学校と現在の運動習慣の有無との組み合わせにより若年なし-現在なし(NN群)、若年なし-現在あり(NA 群)、若年あり-現在なし(AN群)、若年あり-現在あり(AA群)の4群に分け、四肢骨格筋量、握力、脚伸展・屈曲筋力を共分散分析で比較した。潜在的交絡因子を調節するために年齢、教育年数、喫煙歴(現在、過去)、タンパク質摂取量、糖尿病, 高血圧症, 脂質異常症の有無を調整変数とした。有意水準はP < 0.05とし、事後検定としてBonferroni法を用いた。 四肢骨格筋量は男性では有意差はなかったが、女性ではNN群とNA群に比べてAA群で有意に多かった。握力は男性では有意差はなかったが、女性ではNN群とNA群に比べてAA群で有意に高かった。脚伸展筋力は男性では有意差はなかったが、女性ではNN群に比べてAA群で有意に高かった。脚屈曲筋力は男性では有意差はなかったが、女性ではNN群、AN群に比べてAA群で有意に高かった。 本研究の結果、若年期および高齢期の運動習慣の組み合わせは男性では高齢期の骨格筋量、筋力にはあまり影響しないが、女性では関連し、特に若年期の運動習慣が高齢期の骨格筋量、筋力と関連する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は地域在住高齢者コホート“文京ヘルススタディ―”のフィールドを活用して、高齢期の骨格筋機能の維持に有効な過去および現在の「運動歴」を明らかにすることである。 2020年度は文京ヘルススタディ―のベースライン測定にて取得された運動歴アンケートを整理し、運動歴データセットの作成および若年期および高齢期の運動習慣の組み合わせと骨格筋量、筋力との関連を検討した。しかし、当初予定していた運動種目と骨格筋機能との関連は未だ検討できておらず、今後解析を実施予定である。また、2020年10月より始まった5年後の追跡測定もCOVID-19の影響により当初予定していたよりも参加人数が1割ほど少なく、追跡率も6割ほどに留まっている。よって、本研究の進捗状況はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も昨年度までと同様に文京区在住の高齢者を対象としたコホート研究“文京ヘルススタディ―”と連携してデータの測定および解析を行う。2021年度は2016年度にベースライン測定に参加した500名を対象に5年後の追跡測定を実施する。測定と並行して2020年度に整理した運動歴データセットを用いて、運動種目と高齢期の骨格筋機能との関連の検討および若年期と高齢期だけでなく生涯にわたる運動実施状況と高齢期の骨格筋機能との関連の検討を実施する。これらの結果は9月に京都で行われる第40回日本臨床運動療法学会にて学会発表をする。その後、学会発表で得られた助言を参考に研究成果を論文としてまとめる。 さらに、2021年度までに約700名の5年後測定を行い、運動実施状況と運動種目との組み合わせが高齢期の骨格筋機能の変化に与える変化の途中解析を行い、今後の解析の方向性を定める。この結果は2022年5月に開催される米国老年学会にて発表するよう2021年10月に演題登録を行う。
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Causes of Carryover |
本研究課題は文京区在住の高齢者を対象としたコホート研究“文京ヘルススタディ―”と連携して実施している。2020年度はCOVID-19感染拡大の影響により、測定に来て下さる参加者数が当初予定よりも大幅に少なく、測定に掛かる費用が少なかった。また、国際学会等が中止や延期となり学会参加費および渡航費支出が生じなかったため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は研究成果発表や遅れている分の測定経費として使用予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 青年期および現在の運動が骨格筋機能に与える影響-Bunkyo Health Study-2021
Author(s)
田端宏樹,大塚光,石薈聡,染谷由希,加賀英義,佐藤元律,山﨑望,筧佐織,アブドラザク アブラディ,梅村二葉,内藤仁嗣,木屋舞,河盛隆造,田村好史
Organizer
第8回日本介護予防・健康づくり学会大会
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[Presentation] 青年期と現在の運動習慣が骨密度に与える影響2021
Author(s)
大塚光,田端宏樹,石薈聡,加賀英義,染谷由希,アブドラザク アブラディ,筧佐織,佐藤元律,山﨑望,内藤仁嗣,梅村二葉,河盛隆造,田村好史
Organizer
第8回日本介護予防・健康づくり学会大会
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[Presentation] 青年期および現在の運動習慣が高齢期の認知機能に与える影響2021
Author(s)
石薈聡,田端宏樹,大塚光,加賀英義,染谷由希,アブドラザク アブラディ,筧佐織,佐藤元律,山﨑望,内藤仁嗣, 梅村二葉,河盛隆造,田村好史
Organizer
第8回日本介護予防・健康づくり学会大会