2021 Fiscal Year Annual Research Report
立ち上がり動作に失敗する脳卒中片麻痺者の運動学的・運動力学的異常の解明
Project/Area Number |
20K23262
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
本島 直之 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (70884352)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 脳卒中片麻痺者 / 起立動作 / 三次元動作解析 / 起立困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は起立動作に失敗する脳卒中片麻痺者の運動学・運動力学的特徴を明らかにすることを目的とした.解析の対象は7年間で三次元動作解析を用いて起立動作の計測を行った152名として後方視的分析を行った. 起立動作に失敗する脳卒中片麻痺者26名を対象にした解析から.起立に成功した場合は失敗した場合と比較して骨盤や胸郭の前傾,身体重心の前下方移動および離殿前後の股関節伸展モーメントが大きかった.また,脳卒中片麻痺者52名を対象とした横断解析から,1回の離殿で起立が可能な脳卒中片麻痺者は複数回の離殿後に起立可能な脳卒中片麻痺者と比較して,麻痺が軽度であり,離殿までの骨盤および胸郭の前傾と離殿前の股関節屈曲モーメントが大きく,離殿後の股関節伸展モーメントおよび非麻痺側足部荷重率が小さかった. さらに,脳卒中片麻痺者10名を対象とした,起立困難な時期から起立可能となるまでの縦断解析の結果,起立可能になった時期は,起立困難な時期よりも離殿前の股関節屈曲トルク,胸郭前傾角度が大きかった一方で離殿以降の解析項目に違いは認めなかった. 本研究の結果から,麻痺が重度で起立が困難な脳卒中片麻痺者の起立達成に必要な運動学的・運動力学的項目は,離殿前の股関節屈曲モーメント,離殿時の骨盤および胸郭前傾が必要であることが示唆された.一方で先行研究で重要とされていた離殿後の麻痺側足部荷重量は横断・縦断解析結果ともに違いを認めなかった.これらの結果は起立動作が困難な脳卒中片麻痺者の運動学・運動力学的特徴を示しているととともに,脳卒中片麻痺者が起立を達成するためのリハビリテーション評価および治療を行う際に,離殿時の胸郭及び骨盤のアライメントや離殿前の股関節機能に着目することが重要であることを示唆している.
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