2020 Fiscal Year Research-status Report
短期高脂肪食モデルによる非アルコール性脂肪肝炎の超早期病態の解明
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20K23272
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
名仁澤 英里 愛知医科大学, 医学部, 助教 (10879464)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / 高脂肪食 / 高糖質食 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活の欧米化による脂質摂取の増加が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を誘発し、肝疾患(肝硬変、肝ガンなど)のリスクの一因となっている。以前、申請者は、わずか4日間の高脂肪食摂取が、肝内の炎症や凝固状態を誘導することで、NASHの超早期段階の病態を呈することを証明した。さらに、今年度の研究によって、短期の高糖質食摂取においても、高脂肪食摂取時と同様に肝障害に対する感受性が増加することが分かった。一方で、高脂肪食と高糖質食の摂取時では、肝内に誘導される炎症・凝固状態に差があるため、肝感受性の亢進に関わるメカニズムが異なる可能性が示唆された。 そこで現在は、短期間、高脂肪食もしくは高糖質食を摂取したマウスモデルの肝臓を対象に、GC-MS/MSを用いて約 500 成分の代謝物の網羅的な測定を行っている。測定データから肝内のメタボローム(代謝)の変化や、炎症・凝固に大きく関与する代謝物を推測するねらいである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通りの実験が遂行できており、新たな成果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
GC-MS/MSを用いて網羅的に測定した代謝物データから、食餌によって変化する代謝経路や代謝物を予測する。候補に挙がった代謝物を対象として、炎症・凝固への関与を検証する。短期高脂肪食摂取モデルや短期高糖質摂取モデルに対して候補代謝物の投与(過剰投与)、もしくはブロッキング(除去)を行い、血液学的・組織学的・遺伝子学的な評価により、候補代謝物の中からNASHの予防に有用な因子を同定する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも動物実験がスムーズに遂行でき、予定購入数を下回った。それに伴い、動物実験に必要な備品の購入費や血清サンプルの測定外注費等が低額となった。 今後は、GC-MS/MSを用いたメタボローム解析を行う上で必要な試薬・物品の補充、また機器の精度管理に必要な試薬・物品の購入に充てる予定である。
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