2022 Fiscal Year Research-status Report
産後うつ予防を目指すプレシジョン・ヘルスを視野に入れた妊娠期食生活の解明
Project/Area Number |
20K23275
|
Research Institution | Kyoto Kacho University |
Principal Investigator |
林 育代 京都華頂大学, 現代家政学部食物栄養学科, 准教授 (30878517)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
|
Keywords | 産後うつ / 妊娠期食生活 / 貧血関連遺伝子 / 社会経済的状況 / 予防介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
産後うつは妊婦の10~15%に発症するとされ、育児困難から乳児虐待や母親の自死につながるおそれのある産後予後である。本研究においても既報と同様に、エジンバラ産後うつ質問票による産後うつ発症者の割合は、全体の13%であった。 社会的ハイリスク妊婦(低所得、未婚、育児援助者の不在、等)は産後うつの発症が高率であるが、すべてのハイリスク妊婦が発症するわけではない。食事はうつ病発症リスクを低減させる生活習慣であること、中でも野菜に富む食事はうつ病発症予防に効果があること、うつ病罹患患者では葉酸の血漿濃度が低いことが報告されており、産後うつに対してもこれらの食生活が予防的に働くことが期待される。また、遺伝子多型の違いにより栄養代謝やうつ病治療薬の効果の程度が報告されていることから、本研究は、『産後うつの発症に、個人の食生活や遺伝的素因が根底にあり、それらが相互的に作用にし、社会的状況と相まって発症に至るのではないか」との仮説を立てた。 中間解析においては、エジンバラ産後うつスコアのハイスコア群(9点以上)と対照群(9点未満)において、社会経済的要因に差は認められなかった。生活習慣因子において差が認められたものは、妊娠前の主観的な睡眠困難感の訴えであった。 妊娠後期の血漿葉酸濃度を測定した結果、ハイスコア群と対照群に差はなかった。しかし、妊娠中期の中程度貧血の割合がハイスコア群で高く、妊娠性貧血を予防する食生活が産後うつの減少に寄与する可能性が示された。 本研究は、妊娠中に産後うつ予防のために介入できる要因を検索することを目的としていることから、妊娠性貧血2群による前方視的検討を行い、妊娠期食生活および個別化を図ることができる他の関連要因(遺伝的個体差を含め)についてさらに検討を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SNP解析が完了していないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度前半にはSNP解析を完了する。 食事調査結果のスコア化を9月までに完了し、妊娠中貧血および産後うつに関連する食事因子・遺伝的因子・社会的因子に関する解析を本年中に終了する。
|
Causes of Carryover |
SNP解析用試薬を購入する必要があるため。
|