2022 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋幹細胞の移植効率の向上を目指した筋組織内微小環境の解明
Project/Area Number |
20K23283
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 諒 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60770435)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋幹細胞 / 骨格筋 / 幹細胞移植 / 筋ジストロフィー / 微小環境 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の可塑性を制御する骨格筋幹細胞は生体内で唯一骨格筋線維を再生できる幹細胞であることからサルコペニアや筋ジストロフィーなどの筋疾患への細胞治療が高く期待されている。しかし移植効率の低さから治療効果は現在までのところ得られていない。これまでの多くの研究が骨格筋幹細胞自体の性質に着眼したものが多い中、本研究は幹細胞移植をされるレシピエント側の移植環境に着目し、どのような移植環境が幹細胞の生着に重要かを解き明かすことを目的とする。これまでに骨格筋幹細胞の休止期で強く発現する因子の探索を進め、その中で骨格筋幹細胞とニッシェをつなぐ分子となり得る候補分子Gpr116を同定した。骨格筋幹細胞特異的にGpr116を欠損すると、休止期からの逸脱と自己複製能の低下が引き起こされ、また加齢に伴い骨格筋幹細胞が徐々に低下することが明らかとなった。また、Gpr116の下流分子として、b-arrestin1を同定した。b-arrestin1を欠損すると、同様に骨格筋幹細胞の自己複製が低下することが証明された。Gpr116-b-arrestin経路が骨格筋幹細胞の休止期維持を担うことが証明され、この成果を論文化することができた。さらに、この結果を受け、骨格筋幹細胞の休止期や活性化状態をモニタリングする遺伝子改変マウスの作成を行った。この遺伝子改変マウスツールは骨格筋幹細胞移植に伴い、どのような骨格筋幹細胞の状態が生着効率を左右するのかなどを明らかにするための有用なツールになる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採択年度から新型コロナウイルスの蔓延により大幅な遅れが生じたため全体として研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく開発した骨格筋幹細胞の活性化状態をモニタリングできるマウスを有効的に利用し、骨格筋幹細胞のどのような状態が幹細胞移植の効率を最も高めるのか、また移植後に細胞状態がどのように変化していくのかを詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
採用年度から新型コロナウイルスが蔓延したため、研究の進捗が大幅に遅れた。そのため、予定していた実験及び論文の掲載が遅れたため、消耗品及び論文の掲載費用に係る金額に使用できず次年度使用額が生じた。新しく作製した遺伝子改変マウスが安定的に供給され実験環境が整ったため、本年度で同定した分子をターゲットにし、骨格筋幹細胞の培養系において薬剤スクリーニングを行う予定である。そのため主に次年度は骨格筋幹細胞の単離、培養に関わる消耗品及び薬剤の購入を計画している。
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Research Products
(6 results)