2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of Tongue-hold swallow on pharyngeal cavity
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20K23299
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
粟飯原 けい子 藤田医科大学, 保健衛生学部, 助教 (00878366)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 摂食嚥下障害 / リハビリテーション / 舌 / 前舌保持嚥下 / 320列面検出器型CT |
Outline of Annual Research Achievements |
前舌保持嚥下は摂食嚥下障害の重大な機能障害である咽頭収縮不全に対する数少ない訓練法である.臨床場面で高頻度の用いる訓練法である一方で,その効果やメカニズムに関する報告は一定していない.本研究は前舌保持嚥下による咽頭収縮強化メカニズムについて,320列面検出器型CTおよび舌輪郭描出手法を用いて運動学的検討を行うものである. 健常被験者13名(男性6名,女性7名,23-43歳,身長157-174cm)に対し,舌表面をバリウムコーティングした状態で前舌保持嚥下と唾液嚥下の嚥下動態を撮影した.再構成された画像を用いて咽頭腔体積と頸椎咽頭後壁間距離を計測した.1名を除いて両嚥下ともに最大咽頭収縮時の咽頭腔体積は0であり完全に咽頭が縮小した.頸椎咽頭後壁間距離は,唾液嚥下に比し前舌保持嚥下で有意に延長し,前舌保持嚥下で咽頭後壁の運動が増加することが明らかになった. 従来の画像評価法では軟組織である舌根部や咽頭後壁が咽頭収縮によって接触するとそれらの動態観察には限界があり,前舌保持嚥下の咽頭収縮メカニズムについては長年未解明であった.任意方向から嚥下動態を観察できる320列面検出器型CTおよび舌輪郭描出手法を用いることで,舌根部と咽頭後壁の運動をそれぞれ独立して観察することが可能である.本研究にて前舌保持嚥下の咽頭後壁への運動効果が明らかになったことで,より目的を明確にした訓練法の提案が可能となり,摂食嚥下リハビリテーションの有効性がさらに向上するものと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた健常被検者の嚥下動態については結果をまとめ,論文を投稿中である.また既に,今後の研究の対象と予定している摂食嚥下障害患者の撮影を開始しており,2年目で予定している嚥下障害患者の嚥下動態についても一定の成果を得る事ができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
咽頭残留を認める摂食嚥下障害患者を対象に,健常被験者と同様にCTおよび舌輪郭描出手法を用いて前舌保持嚥下による咽頭後壁への運動効果を運動学的に検討する.
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Causes of Carryover |
助成費が2つの年度にわけて支給される予定であったこと,また参加を予定していた学会が中止になったことで初年度の支給された額を繰り越すこととなった. 今年度に統計解析ソフトとデータ保管用ハードディスクを購入予定,また成果発表のための学会参加費に充てる予定としている.
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