2023 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者におけるビタミンB12不足の成因・その健康影響・摂取必要量に関する研究
Project/Area Number |
20K23303
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
青 未空 大阪樟蔭女子大学, 健康栄養学部, 講師 (10880130)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | ビタミンB12 / 萎縮性胃炎 / 水溶性ビタミン / 高齢者 / 貧血 / 食事摂取基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1:萎縮性胃炎とビタミンB12栄養状態の関連を明らかにし、萎縮性胃炎や胃癌におけるビタミンB12の意義を明らかにすること、2:現在明らかにされていない高齢者のビタミンB12摂取必要量を算出し、高齢者の健康維持に貢献することである。 上記2つの目的を達成するため、人間ドックを受診する中高齢の健常者70名(除外規定はビタミンB12製剤もしくはサプリメント使用者)を対象に研究を実施した。血液検査として、通常の人間ドック検査項目に加えて、血清ビタミンB12、葉酸、フェリチン、ペプシノーゲン(PG)Ⅰ・Ⅱ濃度、血漿ホモシステイン濃度を測定し、赤血球分布幅(RDW)-SDを算出した。萎縮性胃炎のリスク判定として、PGⅠとPGⅠ/PGⅡ比を用いるPG法を用いた。胃粘膜萎縮の程度は、胃カメラ所見に基づいて、専門医が木村・竹本分類の判定を行った。 結果として、萎縮性胃炎高リスク群の方が萎縮性胃炎低リスク群よりも、血清ビタミンB12濃度が有意に低いことが示された。さらに、萎縮性胃炎高リスク群および胃粘膜高萎縮群では、貯蔵鉄の指標である血清フェリチン濃度も有意に低値であった。 日本人中高齢者では萎縮性胃炎の頻度は高く、潜在的ビタミンB12欠乏・不足者が多数存在すると思われ、今後さらなる調査が必要であると考えられた。なお、新型コロナウイルスの影響によって、病院内における対象者との接触を伴う作業に時間を取ることができず、詳細な食事調査を実施することができなかった。そのため、今後、目的2について研究を行う予定である。
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