2021 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓への負担を最小限に抑える最適な運動時間の探索-腎血行動態に着目して-
Project/Area Number |
20K23306
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川上 翔太郎 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (30881304)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 運動生理学 / 腎血行動態 / 運動処方 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は腎血流量が低下しない運動強度を明らかにし、その強度は中強度である。しかしながら、これまでの我々の研究で用いた運動様式は「短時間」の運動であり、「運動時間」が腎血流量に変化をもたらすかどうかは明らかでなかった。そこで、我々は「運動時間」に着目して長時間の中強度運動実施にともなう腎血行動態の変動および腎臓への負担度を検証した。 本研究では、心疾患や脳血管疾患、人工透析の既往なく、軽度腎機能低下(推定糸球体濾過量が60ml/min/1.73m2かつ90ml/min/1.73m2未満)がある男性を対象とし、自転車エルゴメーターを用いた中強度運動による30分間の持続運動を実施した。腎血行動態の評価については、超音波エコーを用いて非侵襲的に実施した。中強度の持続運動実施にともなう腎血流量の変化を運動前、運動直後および回復期(運動終了30分後、60分後)で観察した。中強度の持続運動前後において、腎血流量に有意な変化を観察されず、回復期においても有意な変化はみられなかった。また、腎臓への負担度を検証するために、運動前後および回復期の血中及び尿中バイオマーカーを評価したところ、中強度の持続運動は腎機能マーカー(クレアチニン、シスタチンC)や腎障害、腎損傷マーカー(NAG、KIM-1、L-FABP)の有意な変化をもたらさなかった。 以上のことから、単回の中強度持続運動は運動後および回復期での腎血流量や推定糸球体濾過量を維持し、いかなる腎障害および腎損傷を誘発しないことが明らかになった。
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