2020 Fiscal Year Research-status Report
鑑賞者の評価を考慮した舞踊運動における個人差の意義の実証:運動・印象の分析から
Project/Area Number |
20K23311
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
河野 由 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (20878227)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 運動の個人差 / 演技者自身の「表現」 / 3次元動作解析 / 運動学的変量 / 時系列変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
芸術的要素が評価される身体運動において、その個人差は演技者自身の「表現」とも捉えることができる一方で、規則書を確認してもその意義は明確でない。本研究では、バレエにおける運動の個人差が鑑賞者にどのように評価されるのかを解明することによって、運動の個人差の意義を実証することを目的とした。 初年度は、バレエの下肢挙上動作を対象に、3次元動作分析装置による運動分析を実施した。具体的には、女性プロバレエダンサー11名(以下、演技者)を対象に、全身に48個の反射マーカーを貼付し、バレエの基本的な下肢挙上動作を3試行実施させ、その様子を光学式カメラ8台(250 Hz)と、前額面方向からデジタルビデオカメラ1台(60 Hz)にて撮影した。計測した3次元座標データに対し、2 次のButterworth型デジタルフィルタ(ゼロタイムシフト、ローパス、カットオフ周波数 6 Hz)にて平滑化した。その後、演技者のデータから得られた運動学的変量における演技者間の相対的な運動の個人差の時系列変化を算出し、運動の個人差の大きい局面を特定した。また、その局面の最大値を、各運動学的変量で比較し、バレエの下肢挙上動作の個人差を反映する運動学的変量を同定した。これによって、バレエの下肢挙上動作における演技者自身の「表現」とも捉えられる運動の個人差の実態が把握できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにデータが取得でき、その分析も順調に進んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、①初年度に実施した運動分析で取得したデータを基に、鑑賞者が感受する印象の調査と、②鑑賞者が感受する各印象と同定した運動学的変量の特性の相関分析によって、運動の個人差の評価の解明の2つの課題に取り組む。①の調査は50名を予定しているが、対面でのデータ取得は、コロナ禍のため、かなりの時間を要する可能性がある。そこで、本研究を推進するためには、対面での調査からオンラインでの調査に切り替え、速やかにデータを取得できるようにデータの取得方法を変更する。
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