2020 Fiscal Year Research-status Report
既設同報スピーカを活用した低コストなスマートフォンの音響測位手法
Project/Area Number |
20K23313
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 将成 北海道大学, 情報科学研究院, 助教 (80878306)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 屋内測位 / 音響測位 / 識別 / トラッキング / 非可聴音 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,屋内の既設同報スピーカを利用した音響信号によるスマートフォンの内蔵マイクロフォンの測位手法の構築を目的としている.放送用の既設スピーカを音響信号の送信元として用いれば,専用のスピーカの新設が不要となり導入費用を抑えることができる.しかし,放送用の既設スピーカでは複数のスピーカから同一の音響信号が再生されるため,各受信信号に対応する送信元のスピーカを特定できず,マイクロフォンの位置を一意に決定できないという課題がある.本研究課題では,スマートフォン移動時の信号の受信時刻・受信強度の変化等を用いた送信元特定手法を開発することで,既設同報スピーカを用いた屋内測位手法の確立を目指すものである. 本年度は当初計画に基づき,各種技術の開発とこれらの基礎的な評価を主に実施し,次年度における性能向上に向けた課題の抽出を行った.その具体的内容については以下の通りである. 1. トラッキング情報に基づいて受信信号を各送信信号に分離する手法について,その基本アルゴリズムを考案・実装し性能評価を実施した.シミュレーションを通じて,その性能限界を確認した.また,少数のスピーカを用いた基礎的な計測試験により,実環境での分離性能を検証し,性能改善を要する技術的課題を明らかにした. 2. 受信強度情報を利用した測位手法について,基本アルゴリズムを考案・実装し,実環境での計測試験を実施した.これにより,基本アルゴリズムが有効となる測位領域が明らかとなった.また,理論に基づいたシミュレーションと計測試験結果との比較を通じて,令和2年度の方式の課題抽出を行った. 3. 提案手法の性能評価や改善検討に必要な実験システムの構築を進めた.具体的には,マイクロフォンの自動移動システムを構築し,音響信号の送受信を行う処理系を実装した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に従って,各種要素技術の基本アルゴリズムの構築とプログラムの開発を行い,その性能評価と改善,課題抽出を行った.これにより,次年度以降の研究の基礎となる成果が得られた.また,信号間の干渉に関する考察を通じ,新たな位置認識手法を考案した.以上のことから,本研究課題は概ね順調に推移していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,令和2年度に抽出した技術的課題について,計測を追加して考察を深め,各要素技術の性能向上を目指す.また,令和2年度に構築した実験システムによる提案手法の性能評価を行い,この結果を用いた提案手法の性能向上を目指す.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由:1.当初購入予定であった機材について,他の資金で取得した機材を流用できることが判明し,該当機材の購入を見送ったため.2. COVID-19の影響により,参加を予定していた国際会議等がオンライン開催となり,該当旅費等が不要となったため. 使用計画:令和2年度に明らかとなった技術的課題に取り組むにあたり,より空間分解能の高い計測を行う必要があるため,この計測システムの構築費用に充てることを計画している.
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