2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K23316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥戸 道子 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (90887564)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | ベイズ統計 / 情報幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は事前分布を使ったベイズ法を用いたパラメータ推定でよく用いられる事後平均やMAP推定量といった推定量の計算法について論文を投稿した。 多次元のモデルでベイズ法による推定を行うときに、事後分布についての最適化が難しくてMAP推定が難しい、または数値積分のためのマルコフ連鎖モンテカルロ法の構成が難しくて事後平均の計算が難しいことがある。モデルの次元が大きいとき推定量の数値計算はより困難になる。そこで、MAP推定と事後平均が、サンプル数無限大の漸近的な状況であるオーダーまで一致するような事前分布のペア(matching prior pair)を求めた。これによって、片方の推定量の計算が難しい場合に、もう一方でその近似を行うことができる。α-平坦性やα-affine座標系という情報幾何に現れる概念を用いると、その事前分布のペアの条件を簡単に書けるようなモデルのクラスが求まる。いくつかの数値実験において、計算の難しい事後平均やMAP推定量をmatching prior pairを用いてよい精度で近似できることを確認した。 また、測地学における非線形回帰のベイズ手法の評価指標についても研究を行い、学会で発表を行った。ベイズ法の評価をする際、その評価指標にプラグインする推定量に何を用いるかが事後分布や手法自体の評価に影響を与える。モデルの曲がり方に関する量が評価指標に与える影響を排除するために、推定量をモデルに垂直な方向にシフトさせた新しい推定量を用いることについて提案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次元の大きいモデルに対するベイズ手法での数値計算について情報幾何を用いた手法を構築できたので、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は多変量正規分布の共分散行列の縮小型事前分布について研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は新たな大型計算機を必要としないような研究に終始したため、次年度使用額が発生している。
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