2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K23321
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮藤 詩緒 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (90883497)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 球体ディスプレイ / 全天周映像 / 遠隔会議 / プロジェクタ・カメラ・システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、半球面ディスプレイによる全天周映像表示を行う遠隔通信システムの開発を通し、全天周映像が人間の知覚と遠隔通信に与える影響を研究する。球面・半球面ディスプレイと全天周カメラの組合せにより、全天周映像の映像全体を表示し、同時に正しい方向情報での表示を行うことで、既存の問題解決を試みる。 今年度は球面ディスプレイと平面ディスプレイが混在するハイブリット遠隔会議を想定し、全天周映像で遠隔通信を行うためのシステム開発と予備実験を行なった。具体的には、ネットワーク上で全天周映像の送受信を行うための通信周りの開発、球面ディスプレイ上に複数人の遠隔参加者を表示するUI開発を行った。本システムにおいて、球面ディスプレイを囲む参加者の注目範囲は、ディスプレイ周囲に立つ位置で判断が可能である。また、平面ディスプレイを用いた参加者画像から視線検出を行うことで、参加者の注目範囲を球面ディスプレイを取り囲む参加者に明示することを可能とした。 本システムを用いて、ハイブリット遠隔会議を想定した予備実験を行なった。実験では、平面ディスプレイを用いた遠隔地の参加者が球面ディスプレイを囲む現地参加者に対してプレゼンを行った際に、プレゼン発表者の視線情報・注目情報に関する現地参加者の理解度を定量的・定性的に計測した。実験の結果、球面ディスプレイでの表示がプレゼン発表者の注目情報の理解に貢献するという知見を得た。一方で、視線情報を用いた表示では散らつきが生じるため、発表者自身が注目情報をクリック操作等で選ぶ手法が好まれることを確認した。 また現在は、球体ディスプレイの携帯化のための開発を進めている。今後は、上記のシステムと携帯型球体ディスプレイを組み合わせ、球体ディスプレイでの方向提示による移動支援を行うことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎となるプログラムの開発は順調に進んでいる。 ただし、COVID-19の影響により、被験者が少数となってしまい、定量的な評価が困難であった。そのため、論文発表を行うまでの進捗には至らず、発表機会が減ってしまった。 今後は、被検者を増やした実験を行い、定量的評価を加えた状態で論文としてまとめを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度実現した全天周映像表示を行う遠隔通信システムと携帯型球体ディスプレイを組み合わせることで、球体ディスプレイでの方向提示による移動支援を行うことを予定している。特に、この携帯型球体ディスプレイを電動車椅子に搭載することで、遠隔にいる介助者と車椅子に乗った要介護者だけでなく、車椅子の周囲にいる第三者とのコミュニケーションの円滑化を図る。
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Causes of Carryover |
COVID-19により被験者実験のための謝金、論文発表のための経費が大幅に減ったことが主な理由である。 次年度は、今年度までのシステムと携帯型球体ディスプレイを組み合わせ、球体ディスプレイでの方向提示による移動支援を行い、応用範囲を増やしていくことで対外発表を積極的に行なっていく予定である。 論文発表は、来年度開催される国内学会と国際学会の発表を目標とする。次年度使用金額はこれらの学会参加のための費用として使用する。
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