2020 Fiscal Year Research-status Report
統計力学的近似と解析に基づく量子機械学習の理論および実装法の構築
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20K23342
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 茶子 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60878297)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 量子機械学習 / 量子ボルツマンマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、交付申請書内の研究の目的に記載した一つ目の目的「統計力学の解析手法を用いて量子機械学習の性能を理論的に評価し、量子ゆらぎの導入が機械学習に与える影響を明らかにする。」に取り組んだ。本研究では、通常の機械学習で用いられる基礎モデルであるボルツマンマシンを拡張した量子機械学習モデル、量子ボルツマンマシン [Amin et al., 2018] を解析の対象とした。Suzuki--Trotter decomposition [Suzuki, 1976] [Trotter, 1959] を利用して量子ボルツマンマシンを統計力学の土俵で扱えるように変換し、統計力学由来の手法であるレプリカ法 [Mezard et al., 1987] を用いて、特定の問題設定における量子ボルツマンマシンの変数の期待値のふるまいについての解析の一部を行った。この解析は計画通りに進行しているものの、数値計算などについては完了してはいないため、2021年度の前半にこの理論解析に引き続き取り組み、本研究課題の実施期間中に結果のまとめを行い、投稿論文を準備する予定である。 また、本研究の当初の計画には含まれていなかったが、2020年度に関連研究が増加してきた量子機械学習モデルの敵対的攻撃に対する脆弱性についての研究も開始している。これは量子機械学習の実応用を考えるにあたり明らかにしなければならないテーマの一つであり、本研究の当初の計画の内容と密接に関連している。こちらの研究は2021年度から採択された別の研究課題と連携しつつ、本研究課題においては理論面を中心に引き続き進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採択当初に2020年度に計画していた内容はおおむね順調に進んでいるが、学会発表や論文投稿など、成果の発表までは行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初2021年度に予定していた研究は順次進めていく予定であるが、研究計画書を提出した2020年5月の状況に比べてプレプリントやジャーナルに投稿されている関連論文が増加しているため、2021年度はそれら関連研究に対して本研究計画で得られる成果の位置付けを明確にし、場合によっては研究内容を柔軟に拡張したり変更したりして取り組みを続けていく予定である。 本課題の研究期間終了前までに、得られた成果を学術論文としてまとめ、投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により研究打ち合わせなどを目的とした現地出張等が制限され、2020年度の使用予定に計上していた旅費等の予定金額を支出することができなかった。また、論文投稿を年度内に行うことができなかったことから、投稿料として予定していた金額を支出することができなかった。 2021年度も2020年度と同様の状況が続くと考えられ、当初旅費として計上していた金額分の旅費としての執行は難しいと思われる。2020年度時点の計画では2020年度に比べ2021年度の旅費の金額が多くなっているため、代わりに高速計算機などの設備を増強し、数値計算に役立てる予定である。
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