2022 Fiscal Year Annual Research Report
統計力学的近似と解析に基づく量子機械学習の理論および実装法の構築
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20K23342
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 茶子 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (60878297)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | ボルツマンマシン / マルコフ確率場 / 自由エネルギー評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、研究実施期間の延長手続きにより2022年度が最終年度となった。2022年度は、2021年度までに得られた成果とは別に、グラフニューラルネットワークなどの機械学習モデルにおける敵対的機械学習に関する研究を中心に成果をあげることができた。これらの研究においては量子機械学習を直接適用したわけではないが、今後これらを量子機械学習の文脈で扱う場合に、通常の機械学習とどのような点で異なり、どのような点にメリット・デメリットがあるかについてを明らかにするための基礎的な成果が得られたと考えている。 研究期間全体としては、量子機械学習を直接扱うテーマには予定通り着手することができなかったものの、量子機械学習の枠組みに拡張が期待できる機械学習の基礎的な問題に主に取り組むことができた。量子機械学習への応用を考えるにあたって重要な基礎モデルの一つであるイジング模型、(制限)ボルツマンマシンなどのマルコフ確率場において必要な自由エネルギーの計算について、2022年度から2023年度にかけて得られた成果が主な成果の一つである。Annealed Importance Sampling(焼きなまし重点サンプリング)と呼ばれるサンプリング法を用いて近似的に自由エネルギーを評価する方法について調べたものである。マルコフ確率場の自由エネルギーの評価は、通常の機械学習のみならず量子機械学習においても重要な問題である。この成果は本研究課題終了後も、継続して研究テーマとして扱う予定である。
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